ミュージシャンになりたかったが人気が出ず落ちぶれサラリーマンとして生きる、主人公鈴木良一。
ひょんなことから亀を飼うことになり、いつしか亀だけに心開くが、会社で亀を飼ってることがバレて馬鹿にされる始末。
そして、その勢いからなぜか自ら亀をトイレに流してしまい精神的に追い込まれていく…。そんな意味不明な展開で映画は幕を開けます。
ただでさえ意味不明な展開が、ファンタジーテイストを伴ってどんどん意味不明に。あ、でも勘違いしないでくださいね。「ニヤニヤしながら楽しんで見れちゃう」という意味での意味不明ですから。
この映画は、2つの物語が同時に進みます。一つは鈴木良一がミュージシャンとして人気になっていくサクセスストーリー(=地上の愛)。もう一つは地下に住む謎の老人とおもちゃたち、そして亀ちゃんの物語(=地下の愛)。
この2つが同時に進み最後は…言えません。劇場でご覧ください。
ジャンル区分がとても難しい作品ですが、「ラブ・ファンタジー・パニック映画」とあえて言いましょう。
鈴木良一のサクセスストーリーは、爆笑シーンを何度も挟みつつ、冴えないサラリーマン時代から好きだった女性との愛と葛藤を切なく描いていきます。
一方で地下の物語は真意がわからぬままどんどんクライマックスへ。クライマックスで明かされる老人の正体、それを知った時の何とも言えない切なさや寂しさ。
愛には答えがないという力強いメッセージ
愛とは何か。その答えは1つではなく、また正解もこれと言ってあるわけではありません。
この映画は、その「答えがない」を力強く主張してきます。
「こんな愛もある!」
「あんな愛もある!」
「愛で喜ぶこともある!」
「愛で悲しむこともある!」
「満足できる愛もある!」
「理不尽な愛もある!」
様々な愛があることを示し、主題歌”ラブ&ピース”に乗せて、遠慮なく私たちの恋愛に対する概念を揺さぶってくるのです。