『寄生獣 完結編』は2部作の後編に当ります。物語は前作『寄生獣』のその後を描いていきます。
この物語の設定は一応日本。人間の頭部を乗っ取る寄生生物「パラサイト」と人間との戦いを描いています。
よくあるエイリアンものと異なるのは、このパラサイトが人間の形のまま人間を乗っ取ること。つまり脳に寄生するのです。
ですので、ぱっと見では判断できない。これが厄介。ある日夫の様子がおかしいと思ったら、夫はパラサイトに脳を乗っ取られていて、妻の頭部をガブリ。パラサイトは人間を食べるので、この夫は猟奇殺人者ではないかと疑われます。
しかしどうもそうではない。徐々に明らかになっていくパラサイトという寄生生物の正体。物語は後編『寄生獣 完結編』に移って、人間VSパラサイトの全面戦争に。
人類とパラサイトの共存は可能なのかという命題を持ちながら、物語は終焉へと突き進んでいきます。
前編の『寄生獣』は染谷将太演じる主人公・泉新一と、彼の右手に寄生したミギーとその周囲が描れていましたが、後編は群像劇的に。そうすることで、物語としての面白さだけでなく、私たちが生きる上での究極の問いを何度もぶつけてきます。
前編でも言及された、「人間は様々な生物を食すが、パラサイトは人間しか食べない。パラサイトの方が慎ましいではないか」という問いは、後編でも答えを出さずに私たちにぶつかってきます。
「本当の悪は人間なのでは?」
「年間失踪者や自殺者は万単位に及ぶ。少し食べたところで変わらない」
「人間こそが寄生虫そのものではないか!」
これらには「いやいや!」と即答したくなりますが、反論するだけの論拠建てができないのが強烈。
マンガ原作のエンターテイメント映画でありながらも、私たちの価値観にストレートにぶつかってくる作品でもあるわけです。
それでは「性」と「生」について具体的に魅力を語っていきましょう。