最後は、ちょっと大物の怨霊が跋扈しているエピソードを。
実はこの投稿、月の初めに届いたのですが、採用するかしないか今週までかなり悩みました。
でも、勇気を出して載せてみます。
モラハラ男に頭からビールをかけられました
ぐりとまらさん(東京都)
エピソード:
自称ミュージシャンと付き合っていました。
私の家に転がり込んできてバイトすらせず毎日ただ酒を飲んでは私に当たり散らす、モラハラDV野郎でした。
ある日、彼に勝手に使われていた自分のカバンを取り戻そうと中身を出すと、その中に使用済みのTENGAが。
しかも黒TENGAソフトチューブ。ザーメンらしき粘液がベトベトにカバンの内側についています。
驚いて、つい、
「TENGA入ってる!」
と言いました。
使ったのを責めたいわけじゃなく、なんなら使い心地を聞きたいくらいでしたが、彼はすごい勢いでキレました。
飲んでいた缶ビールを私の頭からぶちまけ、さらにもう一本を冷蔵庫から取り出すとまるまるカバンの中に注ぎ込みました。
全身ビールまみれになった私はびしょ濡れのカバンとともに床にへたり込みながら、ただただ彼の罵倒を聞き、彼が部屋の物を壊すのを呆然と見ていました。
苦くって苦しくて飲めないビール びしょ濡れTENGA一番搾り(ぐりとまら)
……おかえりなさい。ようこそ平和へ。
それぐらいしかかける言葉が見つかりません。「付き合っていました」と過去形であることがいちばんの救いです。
この人はいわゆるモラハラというより、さしたる戦略もなく刹那的に暴力をふるうただの幼稚なヒモです。たぶん、プライドが高すぎて自分で自分の未来に折り合いがつけられなくなってしまって、そのストレスをアルコールと幼児的な暴力で埋め合わせていたのでしょう。
告白すると、僕もある時期、こんな風な人間でした。あまり詳しく話す気になれませんが、当時付き合っていた人を、あなたがされたのと同じように傷つけていました。いわゆる暴力とはちょっと違ったかもしれませんが、まあ、同じことです。
だから、ビールをカバンに注ぎ込もうとする衝動、僕には実感として理解できてしまいます。その感覚を今でも心の中にくっきりと感じ取れることが自分でとても怖いですが。
こういう精神状態だと、反省する気になっても、
「急に反省したら一貫性がないことを指摘されるかも」
と怖くなったり、
「弱い立場になった途端に逆襲されたら嫌だな」
と考えたりするので、なかなか素直に反省できません。自分の逆上にさえ冷静そうな理屈をつけてメンツを保とうとしたりします。
面倒でしょう?
しかも、こういう風に心情を理解しようとすることも、うっかり共依存になってしまうのでよくないとされています。
いちばんの自衛策はこういう男には近寄らないことだし、いちばんの優しさは耐え忍ぼうとせずに家から追い出してあげることです。まあきっとそういう終わらせ方をしたのだと思います。それぐらいしか平和な出口はないでしょうから。
とにかく、おかえりなさい。もう二度とそんな地獄にたどり着きませんように。
そして、もう二度とそんな地獄を生み出しませんように。
許せない人を愛して生きていく カレーのまずい母から生まれ(佐々木あらら)