水にコーヒーを溶かして……

ビスケットさん(北海道)
エピソード:
 我が家は餃子やシューマイも冷凍食品で済ませる「作らない」家庭でした。
 小学校1年生のおませな私はテレビで、好きな人にチョコレートをあげる日を知りました。
「あげるなら手作りがいいな!」
と思い立ち、
「水にコーヒーを溶かして凍らせるとチョコレートになるはず」
と、すぐ実行。
 その後、タッパに凍った茶色い物が母と祖母に発見され、大騒ぎになりました。
 恥ずかしくて何を作ろうとしたかは教えませんでしたが、あとで母から「これでチョコ買っておいで」とお金を渡されました。
 今日、肉まんを生地から手作りしながら、娘に「大人になったら餃子や肉まんは生地から手作りするのだよ」とお祈りのように伝えました。

チョコレート作り損ねて凍ってる母よ教えて愛とはなあに(ビスケット)

 あー、あるある! 子どもの思い込みでつくる適当クッキング。二十歳ぐらいまでは僕もしてたと思う。

 チョコレートって、確かにどうやってつくるかわかりにくい物ですよね。

 手作りチョコだって、原理的には、市販のチョコを溶かして固めるだけだし。

 ついでに勇気を出して言っちゃいますけど、手作りチョコって、本命の人に贈るのに向いてないと思う。なんというか、謝罪のしるしに頭を坊主にするのに似てる感じ。

「誠意は伝わったが、うーむ、それはこちらにとっては嬉しいことなのか、な……」みたいな気になります。

 贈り物って「この人は自分が何がほしいかをちゃんと見ていくれてたんだなあ」という物をもらうときにいちばん愛を感じますよね。バレンタインだろうが、男女だろうが、関係なく。

 もちろん「自分のために手間暇かけてくれた気持ち」がいちばんほしい物だ、ということもあるけど、そういうときはきっと「タッパ入りの凍ったコーヒー水」でもじゅうぶん愛を感じられるんだと思います。

黒こげのチョコクッキーも半べその君も甘くてバレンタインデー

 ビスケットさんにも、手作りチョコを配りまくる女の子になりそうな娘さんにも、幸あれ。