世間が「こじらせ着ぐるみ」を着せてくるところで…
『女子をこじらせて』の続編!
トミヤマ:気になるのは男の眼だけじゃないですからね、女同士の格付けもあるし。
生きていく以上、人と関わらざるを得ないから、何らかのものさしで測られてしまいますけど、その評価に満足いってない人はつらいですよね。
そういう人がまみさんの本を読むと泣くんじゃないですか…? オイオイオイオイ…って…。
雨宮:昔話みたいな泣き方(笑)
トミヤマ:つらいよ、どうしたらいいんだよ(泣)みたいな。
雨宮:わかんないよね。
この連載がはじまったのは2012年で、当時は「こじらせってどうやったら治るんですか?」って質問されることが多かったんです。
でも、「こうすれば治ります」とも言えないし、「そもそもこじらせって病気かよ!? 私、医者じゃねーし!」とか思ってたんですけど(笑)。
でも、どうにかしてもっと楽になる方法はあるんじゃないか? ってすごく考えてた時期で、外見のコンプレックスだけでも自分で乗り越えられたら自信がつくんじゃないかと思ったんですよね。
人から見たら素敵な人なのに、本人は悩んでる、みたいな人とたくさん会って、それが本当につらかったんですよね。
「なんでこんなに気をつかってキレイにしてる人が、自信を失ってるんだろう?」って。
本来素敵な人が、世の中の視線に蹂躙されてるように感じました。
トミヤマ:まみさんご自身の状況と本の内容が連動してますよね。
世間が、「こじらせ女子」という名の服をガンガン着せてこようとするところを…(笑)
雨宮:エルサの様にサッとマントを脱ぐのね…!(笑)「寒くないわ!」つって!
トミヤマ:「自分の服は自分で選ぶわ!」つって! そういう絵が見えたね、今。
雨宮:ひじまでの手袋脱いでね! でも本当にすごい着せてこようとされたんですよね。
トミヤマ:2012年ごろなんて、一番大変な時期でしたよね。
頼んでもない服が大量に届いて、「これ着ませんか?」みたいな。
雨宮:こじらせキャラの着ぐるみみたいなの用意されててね…。
トミヤマ:「これ入ってください!」って(笑)
雨宮:「面白いこじらせエピソード三つくらいお願いしまーす!」みたいな(笑)
トミヤマ:(笑) 「こんな着ぐるみもういやだっ!」みたいな気持ちと連動してたんでしょうね。
私、『女の子よ銃を取れ』は『女子をこじらせて』の続編だと思って読みましたもん。
もちろんこのふたつの作品の間に別の本も出版されてはいるんだけど、この2冊はかなり親和性が高いなと思いました。
『女子をこじらせて』が総論で、『女の子よ銃を取れ』が各論。
「こじらせ」という内面を理解できたら、次は外見のことを考えてみましょう!みたいな。
雨宮:こじらせから脱出するステップワン!みたいな。
続編として読んでもらえたのは、すごく嬉しいです。
トミヤマ:自分の服や化粧のことだったら、人間を相手にするわけじゃないし、恋愛のことでもないから、とりあえずどうにかなるじゃないですか。
こじらせ女子が抱えている色々なお困りごとのひとつである外見の問題について、これはステップワンだし、割とハードル低いから安心して、って言ってくれてる気がしました。
雨宮:そうそう! 私はやっぱり対人関係が一番苦手で、そこは相手のあることだから難しいけど、服を買ったり髪型を変えたりっていう実験は一人でできるんですよ。
対人関係で急に自信を持てって言われても難しいし、「男はボディタッチで落とせ!」とか言われても、それ階段の踊り場から飛び降りるくらいの勇気が要る(笑)。
でも、お金さえ出せば服は買える!
でもね、それでも店に入れないとか、店員さんが怖いとか、そこでつまずくという話もよく聞くんですよ。
私も上京してきたころは、下北沢の古着屋が怖かったっていう…。
トミヤマ:アハハ!(笑)
雨宮:めっちゃ怖かったですよ、下北沢の古着屋。今思うとインディアンみたいな服とか売ってたんだけど、こっちは下北沢に売ってるだけでおしゃれな服だと思い込んでるから、「これを着こなせてこそおしゃれだ!」って、間違った服いっぱい買っちゃって…。
いまだに下北沢の古着屋、怖いですね(笑)。