とっ散らかるセルフイメージ

―読んでいて、確かにすぐできそうなことばっかりだなと思ったのですが、同時にセルフイメージというのがすごく気になりました。
セルフイメージが変えられれば結構変われそうな気がするんですけど、どんな風に進化をとげていったのかなって、お二人の軌跡をお教えいただければと思いました。

雨宮:トミヤマさん、セルフイメージをはじめて意識した瞬間って覚えてますか?

トミヤマ:小さいとき、完全に男に間違われてたんですよ。

雨宮:一緒だ(笑)

トミヤマ:小学校か、いや中学校に入るくらいまでかな。スカートをはいて、リボンをつけて、母親と手をつないでいても、「僕いくつ~?」って言われてた。
もうね、オーラが男だったんだと思います。ほんとにしょっちゅう間違われていて、おかしいな?っていうか絶望ですよね(笑)
これが、セルフイメージを意識した最初かな。

雨宮:あ~…わかります。私は、初孫だったんですよ。父方母方両方にとって初孫で、めっちゃ可愛がられてお姫様扱いなんですよ。
ほんとに自分はお姫様みたいなもんだって思っていたし、公団に住んでたのに、私のソファコーナーみたいなのがあったの。

トミヤマ:なにそれ!そんなコーナー普通ないよ!

雨宮:すごいでしょ。私はそこで「ハン!」ってふんぞり返ってて。五歳くらいの頃。

トミヤマ:腹立つわ~!(笑)

雨宮:その時、キキララのかわいいピンクの布で、フリルがついた服を祖母が縫ってくれて。
でも、それを着て鏡に写った時に、なんか日に焼けて金太郎みたいな顔してる女が、フリフリのついてる服を着ていて、「あれ? おかしいな」って思ったんですよね(笑)。
「私、お姫様じゃないんだ!」って。
その、自分はお姫様みたいにかわいいんだと思ってたら違ってた! っていう夢から覚めた瞬間はすごく覚えてます。

トミヤマ:フリフリキラキラは完全に違うってわかったんですね。
わたしは転勤族の子だったんですが、転校がイヤで、中高は私立の女子校に行ったんですよ。
そしたら転校生時代に使っていた人気者男子たちに紅一点としてすり寄っていくというあざとい作戦が通用しなくなって、そこで一気に暗い子になっちゃったんですよね。

雨宮:暗いトミヤマさんがいたんですね!(笑)

トミヤマ:いましたよ(笑)。ハブられたりとかもしたし。非常階段でお弁当食べたりとか。
明るい子たちというのは、バトン部に入っているような子でしたね。

雨宮:でも、逆に黒歴史とかなくてうらやましいです…(笑)。
この間、高校のときの写真が出てきて、前髪がおでこの真ん中ぐらいで、たぶんゴダールの映画を意識したんだと思うんだけど、だっさい制服姿でハサミを構えてる、「お前誰のつもりなんだよ!」っていう写真が出てきて(笑)。
破り捨てたくなったけど、これも思い出の一つだから…。

トミヤマ:それ見たいです(笑)。私は軽音楽部に入っていたんですが、普段の地味さと、文化祭とかでステージに立ったときの目立ちっぷりの落差がひどい部活で(笑)。
GLAYのコスプレとかして、化粧とかしまくってました。その時の写真は立派な黒歴史ですよ…。

雨宮:GLAYのコスプレってどういうことだよ!(笑)見たいです!

トミヤマ:友達から借りた蛇柄の短パンをはいて、「However」歌ったりして(笑)。
あの頃のセルフイメージは相当散らかってましたね。

雨宮:最初は、「なりたい自分」と「自分なりの良さ」みたいなのが分裂してて、なりたい自分の方向しか見てなかったりしますよね。
だから絶対にとっ散らかるんですよ。