VERY妻になりたかった母の死から学んだこと

オクテ女子のための恋愛基礎講座 アルテイシア jaguarmena

新刊『オクテ女子のための恋愛基礎講座』では「本当に幸せになれる相手をみずから選ぼう」と書いてます。
そのために「自分にとっての幸せは?本当にほしいものは何?何を捨てられて何は捨てられないのか?その優先順位は?」を考えましょうと。
私は一貫して「他人軸ではなく、自分軸で考えて選ぼう」と主張してきました。その主張の陰には、母の存在があります。

母は今でいうVERY妻になりたかった人でした。
キラキラ女子の最終目標、勝ち組の象徴。ハイスペ夫と結婚してセレブ主婦になり、子どもを有名私立に通わせて、周りから「幸せそう」と羨まれる存在。
母はその目標を叶えたけれど、全然幸せそうじゃなかった。そして最期は誰にも看取られず、1人暮らしの部屋で遺体で発見されました。

セレブ婚をした後、どんどん壊れていった母

母はとても美しい人でした。母似の弟は若い頃モデルをしていました。ちなみに私は父似で、父は左とん平に似ています。
母は若い頃からセレブ志向が強かったらしく、24歳でお金持ちのお坊ちゃんの父と結婚しました。父は高学歴のエリートで、親から継いだ会社を経営していた。

自分の学歴の低さがコンプレックスだった母は、私と弟を有名中学に入れるのに必死でした。「あなたのためを思って」と言っていたけど、そんなの詭弁だと子どもでもわかる。
実際、母の日記には「イトコの○○ちゃんよりもいい学校に入れる!」等と書かれており、私と弟は仁義なき代理戦争に巻き込まれ、マウンティングの道具にされたのです。

クソみたいな受験地獄を経て、姉弟共に有名中学に合格。誇らしげな母を「自分が勉強したわけじゃないのに、なぜ誇らしげなのか?」と冷めた目で見ていた私。
その頃には夫婦仲も冷めきっており、父は家に帰らなくなっていた。そして私が中学の時にバブル崩壊で父の会社が傾き、結婚生活も破たんしたらしい。

「らしい」というのは、私は両親の離婚を親せきから聞かされたから。親せきに「あなたも大変ねえ、ご両親が別れて」と言われて「えっ、うちの親リコンしてたんだ!」とビックリ。十代の娘にとって親の離婚は人生の一大事で、大ショックな出来事です。
でも“夫婦円満なセレブ妻”でいたかった母は、子どもにすら真実を告げなかった。

セレブ婚が破たんしても、偽物のヴィトンやシャネルを購入して着飾っていた母。そんなブランド好きで見栄っぱりでミーハーな母を、私はどうしても好きになれなかった。
その頃、母はよく「ファッションデザイナーになりたい」「レストランを経営したい」と夢を語っていました。母には専門スキルなど皆無だったし、なにより服作りや料理に興味はなかった。

結局、母の基準はすべて「他人に憧れられること」。他者評価しかモノサシを持たず、「自分はこれが好き」「自分はこれが幸せ」と言えるものがない彼女は不幸だったと思う。