子供に人生を変えてもらおうなんて甘い!

安彦: いきなり、動物を飼いだして「人生が変わりました」って人とかいるじゃないですか。

大泉: 犬一匹で変わるとか簡単な人生だな。

安彦: でも、一番よくあるのは「子供を生んだら、変わる」ですよ。わたしなんて4人産んでも変わらないところは変わってない。

大泉: わたし、二十代の時に一番仲良かった子で、もう全身に刺青は入ってるし、家の中は基本的に土足、で、ゴミを窓から投げて捨てたり、ラーメン屋で食い逃げして走って逃げるのが日常、みたいな酷い女がいたんです(笑)。
けど、その子、子供が生まれた瞬間に、肉食わなくなって、君島十和子に傾倒はじめて。で、『おうちカフェ』とか言い出して……けど、その子、ある日突然、失踪したんです。

安彦: ええっ?

大泉: 働き盛りで、まだまだ肉を食いたい夫のために、肉料理が作るのが苦痛とかで(笑)。
まぁ、その他にももちろん、いろんな理由はあったんですが。

安彦: 確かに、マクロビ離婚とかって、増えてるらしいですよ。旦那と上手くいかなくなるみたい。
「わたしがこんだけ身体にいいモノ作ってるのに、なんで、あんた、カップラーメン食べたいの」って。

大泉: 正論なんですけどね、少なくともラーメンよりは身体にいいわけだし。
でも、正論で反論できない分、支配的ですよね。

安彦: でも、わたしも産む前に、子供を産んだら人生が変わる時ってあるのかなって思ったことあります。
でも、それをシングルマザーの友達にいったら「子供に人生を変えてもらおうなんて甘い!」って怒られました。
4人産んでも、根本的なものは変わらないですよ。今だにタバコも吸えば家でお酒も飲みますもん。

大泉: 「変わらないといけないのかな」っていうのが、結婚する前はプレッシャーだったし、今は出産に対してそう感じているんですが、「別に変わらなくてもいい」って言われると、それはそれで気が楽になります。

安彦: うん、無理して変わろうとしなくていいんじゃないですかね。で、何年かして「あれ? わたし、ちょっと変わった?」ってこともあるだろうし。

大泉: 勇気が出ますね。では、せっかくなんで、最後に20代後半から30代前半の恋愛したい女子に何かひとこと。

安彦: 若いうちは、いろんな男の人とやったり、付き合ったしたほうがいいですよ。
二股でも略奪でも不倫でも、なんでもしたらいい。けれど、片思いを10年とかは止めた方がいいです。時間の無駄。
でも、片思いって、その男と一回ヤラないと、踏ん切りつかない。だから、振られてもいいから、とりあえず一回ヤる。そうすると、気持が成仏します。「ヤリ捨てされる……」っていう被害者意識を持つのは止めて、「せっかくだから、行くか!」みたいなノリで!

大泉: 確かに、叶わなかった恋でも、一度でもヤった相手だと未練はないですね。
逆にヤラなかった男だと「わたしのどこが悪かったんだろう」って今だに思う。

安彦: そう。それに、出産すると、今までした悪いことがチャラになるらしいんです。

大泉: ええっ、本当ですか?

安彦: うん。なんなら、生理でもチャラになるらしいですよ。
毎月、毎月、ちょっとずつ流されるらしい。そうやって、毎月毒出しをされているんだから、何しても大丈夫。
片思いの相手とは、一発ヤって、振られるかなんかして、さっさと見切りをつけて、で、次に行って恋愛をして……本当にババアになるのって、あっという間。1人の男にばっかり固執してる暇はないと思います。

安彦麻理絵
1969年生まれ・双子座のB型。『これがオンナのケモノ道』(太田出版)、『おんなのこの正体』(ベストセラーズ)など、女の生態を描いた作品多数。42歳で第4子を出産した、2男2女の母。酒をこよなく愛する。

安彦麻理絵 大泉りか オンナノコウフクロン インタビュー 男仕事 芋

『オンナノコウフクロン』
著者:安彦麻理絵
発行:イースト・プレス

Text/大泉りか

■安彦麻理絵に聞く『オンナノコウフクロン』をまとめて読む

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