すんなり結婚できる女は○○の腕がいい!/ジェーン・スー書籍先読み(2)

 「ジェーン・スーのチャット相談室」連載で御馴染みのジェーン・スーさん、初の書籍『私たちがプロポーズされないのには、101の理由があってだな』発売を記念して、書籍に掲載されている101個のコラムのうち10個を、AMで独占先読み企画として公開! 
本の発売は10月12日ですが、その前にぜひ、こちらで試し読みをしてみてください。

■前回のコラム 【第1回】そもそも、彼氏がいない。もう3年以上。

【2】鉄を熱いうちに打たなかった。むしろ冷や水をぶっかけた。

 鉄が熱くなるまで叩かないのが、いい鍛冶屋。
熱くなる前からガンガン叩くのが、未婚のプロ。

ジェーン・スー 私たちがプロポーズされないのには、101の理由があってだな ポプラ社 イラストレーション:サヲリブラウン

  「友達と食事に行く」と決まったら、女は瞬時に店探しを始めます。参加メンバーの好みやお財布事情、出やすい場所を考慮して、なんならクーポンまで準備する。
ベストな着地から逆算し、常に4手先を読むのが、結婚以外は「デキる」女の特徴です。
しかし、男は違うようです。理想の着地点から逆算して、最初の一歩を踏み出す前に、見果てぬ夢がある。

 付き合っている間に一度か二度、男は血迷って「結婚したらさ~」と夢物語を始めます。
しかし、その口を突いて出るのは、女からすれば超詰めの甘い仮想現実。
貯金が6ケタなのに「結婚しても自分の部屋を持って、お互いのプライベートは大切にしたい!」とか、30代後半の女に向かって「子供はしばらく作らないで、恋人気分を味わいたい」とか、共働き前提なのに「毎晩手料理食べたいなぁ~」など、繰り広げられるはヌルさの祭典。
そこに「え? ローン何年で考えてるの?」「子供が成人したとき、あなた何歳?」「私も働いてるんだから毎晩の手料理は無理!」と冷や水をぶっかけずにはいられない私たち……。
こうやって、男が口にした“結婚”という伝家の宝刀(になるかもしれない現状ただの鉄の棒)を、二度と温まらないほどに冷却します。

 一方、すんなり結婚できる女は、腕のいい鍛冶屋です。
いびつな刀を叩く前に、まずは鉄をできるだけ熱します。男が発した妄言という未完成な鉄に、「ワッショイワッショイ」と、肯定という火をくべ、熱された鉄をトンカチで微調整。
満を持して鉄の棒を冷水に突っ込み、煙の中から秘刀として取り出してみせる。
なんとあざやかな、匠の技でしょう!

 しかしまぁ、無様な鉄の棒を得意げに見せられれば、まず冷や水をかけたくなりますわな。
でもそれは「彼とだったら、結婚できればなんでもいい」わけではないことの証でもあったなと、過去を振り返りながら、私は思うのであります。

ジェーン・スー 私たちがプロポーズされないのには、101の理由があってだな ポプラ社

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