「彼は自分のために言ってくれている」と思ってしまう罠

恋愛って二人でいる時間が長かったりして、だんだん二人だけの価値観ができ上がってきてしまうこともよくあると思います。
それが、いい方向に向かう場合もありますが、デートDVなどの関係の中ではこれがとても良くない方へと向かってしまいます。

そして、デートDVをするカップルには、他の人とのかかわりを持たなくなったり、持ちたがらなくなったりする人がとても多いので、デートDVをする彼がおかしいのか、自分がこれまで生きてきた考え方、価値観がおかしかったのか、が分からなくなるんです。

そんな中、「お前は違う」「俺は正しい」「俺がお前を教育し直す」と毎回言われてしまうと、だんだん、間違っているのは自分なのかもしれないという気持ちの方に傾いてしまいます。
また、「俺しかこんなこと言ってくれる奴はいない」と言われると、「彼が自分のためを思って言いにくいことだけど、言ってくれているんだ」「こんなに親身に自分のことを考えてくれた人はいない」「彼と一緒にいると自分自身を向上できる気がする」と勘違いしてしまいます。

恋人同士、何かを指摘し合うことはあります。
でも、それは相手を尊重した上で言うことであり、「教育する」と言ってきたり、全否定したりすることとは違います。

もし、恋人と上下関係を感じたら、思い出してみてください。
どちらかが持っている価値観に『正しい』『間違っている』と判断する必要が本当にあるのでしょうか。

価値観の違う者同士が一緒にいるという恋愛では、お互いに譲り合ったり、話し合ったりしながら、お互い心地の良い存在になるよう歩み寄るものだと思っています。
どちらかの価値観だけが二人の関係を支配し、相手を否定することは違うのではないでしょうか。

皆さん、お互いのことを大切に思える人と、温かい優しい時間を過ごしてくださいね。

Text/荻尚子

初出:2013.11.30