なぜ乳首を舐められたくないのか

それにしてもなぜ、わたしが付き合う男性は乳首を舐められることを望み、件の友人の付き合う男は望まないのか。ひとつ考えられるというか、ヒントとなるのは、また別の女友達から受けた惚気のような愚痴のような惚気です。

いわく、彼女はマゾ癖があるゆえに、付き合う男はSっけのある相手ばかり。その彼女が当時付き合っていた男性もSみの強い人だったのですが、その彼とのセックスの際、イラマチオ以外のフェラチオはさせてくれないし、それどころか体に触れられること自体を嫌がり、彼女側からの愛撫は一切NGだというのです。その理由は「女性から気持ちよくさせられるのが屈辱だから」だそうで、「そんな人もいるんだ！」とひどく驚いたので今でも覚えている。が、たしかに乳首を舐められてアフンと喘ぎ声をあげることを、恥ずかしいとか、男としての沽券に関わるとか思う男性はいそうな気がする。

まぁわたしはSではないし、乳首舐めを所望する男性と付き合ったことがないという女友達がマゾっていうわけでもないと思うのだけど、同じ年で同じ時代を生きているのに、乳首舐めひとつとっても人によってこれほどに偏りがあるのだから、「普通は」という決めつけの言葉ほど、危険なものはないなと思った代々木の夜なのでした。

Text／大泉りか