「自分が頑張って我慢すればいい」をやめよう

次に、彼の友達との関係について。
定期的に仲の良い同級生とその奥さんと遊んでお泊まりすることに関しては、結婚後の交友関係や遊び方は人それぞれ違うので言及しませんが……。
そもそもあなたが自己嫌悪に陥る必要がどこにあるのでしょうか。彼の友達やその奥さんとは単純にノリが違うだけですし、大人数の集まりやその雰囲気の得意/不得意の話であって、能力の差ではないはずです。
途中で抜けたことについて「ごめん! 先に帰るね!」といった形式的な謝罪ならわかりますが、あなたの言葉は「馴染めなくてごめん」という意味での謝罪のようです。
そういう風に謝る必要がどこにあるのでしょうか。

あなたは「受け入れる」という言葉の意味を、自分も彼と同じ行動をすること、彼の友達と仲良くすることだと思っているようですが、それは違います。
彼には彼の人間関係があると認識したうえで付き合いを制限したり口を出したりしないこと、そして彼は彼であなたを無理矢理集まりに参加させようとしないことが、あなたたちにとって適切な“受け入れる”という意味ではないでしょうか(ただし、家庭が崩壊するほどの過剰な付き合いや法律に触れる行動をしている場合は別です)。
恋人、婚約者、配偶者だからといって、パートナーの友達と仲良くする義務はありません。
試しに一度だけ参加してみて、自分には合わないと気づいたのなら「私は行かないけど、あなたは楽しんできて」と気持ちよく送り出せばいいだけことです。

たしかに、いい関係を築いたほうがいいであろう彼のお母さんに不快なことを言われたり、彼の友人たちというアウェーな状況で長時間過ごさなくちゃいけなかったり、あなたにとって大きなストレスだったと思います。
でも、わたしにはあなたが「こんなにつらかったけど、きっと上手くやれない私が悪いんだよね。私が頑張って我慢さえすればいいんだよね」と思っているように感じたのですが、いかがでしょうか。
自己評価が低いというのも原因のひとつかもしれませんが、「誰かなんとかしてくれないかな、そうじゃないなら我慢するしかないな」という気持ちがあるように見えます。

相談文の中で「彼に一緒に帰ってほしかったと思うのはワガママですか?」と書かれていますが、彼に対する要望はその場で言葉にしないと伝わりませんよ。
というか、あなたの要望がワガママかどうかって、そんなに大事でしょうか? 「それはワガママだよ!」と言われたら「そうか、ワガママなのか!」とすんなり納得できるのでしょうか? 「ワガママって言われたら仕方ないか……ほんとうは一緒に帰ってほしかったけど……」と思うのも、納得しているうちには入りませんしね。

わたしがあなたの立場だったら、自分の都合で帰るだけなので彼と一緒に帰ってほしいとは思いませんから「わたしは帰るけど、あなたは楽しんできてね」と伝えてひとりで帰りますが、でもあなたはそうではないのでしょう。
「自分はあのノリが苦手。だから今日は途中で帰る。一人だと心細いから一緒に帰ってほしい」という意志を通していいじゃないですか。
また、「考えすぎですか?」という文言もそう。「考えすぎだよ」と言われたら「そうか! 考えすぎなのか!」と今の不安が気にならなくなって、悩みが解決するのですか?
他人からの評価やイメージを基準にするのではなく、自分がどう思うか、どうしたいかを基準に行動することをおすすめします。

相手の全てを受け入れようとすることは愛情表現ではない

あなたは彼のことを「すごく心が強くてポジティブだから、自分の型に当てはめようとする~」と形容していますが、それは違いませんか?
ほんとうに心が強くてポジティブな人は「自分は得意だけれどあなたは苦手なんだね、人それぞれ苦手なことってあるよね」と受け止めて、無理強いしないはずです。
彼は心が強くてポジティブではなく、想像力とデリカシーがないだけではないでしょうか。
ただ、あなたが彼の友達との集まりに何回参加したのかは書かれていないのでわかりませんが、集まりに参加して、しんどい思いをして、それを彼に伝えて、でもまた参加して……といった流れを何度も繰り返しているのであれば、彼もイライラしてしまうかもしれないな、と。

決して彼のデリカシーのない発言を擁護するわけではありませんが、あなたはもう少し毅然とした態度を取ったほうがいいと思います。
たしかに、自分のつらさを理解してもらうために彼に伝えることはとても大事です。
でも、全てを受け入れてほしい、全身で寄り添ってほしい、私がつらくならないようにしてほしい、つらくても頑張っている姿をちゃんと見て欲しい、というのは過剰な期待です。
「私にはできない。だって苦手だし嫌だから」「あなたがやりたいのであれば、それは好きにすればいいと思う」といった風に、意志表明はしておいたほうがいい。
相手のやることなすこと全てを受け入れて同じように振舞うことは、幸せな結婚生活に繋がるわけでも、相手に対する好きという感情の大きさの証明になるわけでもありませんから。

彼と結婚する/しないはさておき、自分の意志はきちんと持つべきです。
毅然とした態度を取ることで悪者になるんじゃないか、悪いイメージを持たれるんじゃないか、自分がいないところで悪く言われるんじゃないか、と不安に思うかもしれませんが、嫌な言葉を聞かされ続けて、ノリが合わないしんどい時間を過ごすよりもずっといいはずです。

自分の意思を明確にして、堂々と行動していくことが大事

「好きとはなにか?」なんて、考えるだけ時間の無駄です。
好きという感情の捉え方は人それぞれ違ううえに、大昔の賢くて偉い哲学者が万人に当てはまる正解を導き出すことができなかったのですから、一般人のわたしたちにわかるわけがありません。
また「結婚に好きという感情はいらないのでは?」といった考えについてですが、別に好きという感情がなくたって結婚できますし、それで幸せな結婚生活を送っている人がいるのも事実です。
ですが、前回の相談者さん と同様に、あなたは好きという感情なしの条件だけの結婚は向いていないように思います。だって、少なくともあなたは彼に寄り添ってほしいと感情の部分を重要視しているのですから。

彼とこのまま結婚するかどうかは、あなた自身が決めることです。
ただし、彼との関係を上手くいかせるために自分が我慢すればいいという考えで結婚を決めるのは間違っています。それは、感情と条件のどちらを優先しても同じことです。
あなたがどういった結論を出すのかはわかりませんが、誰が相手だろうが自分の意志を明確にして、それに基づいた行動を堂々としていくことが、今のあなたにできることではないでしょうか。

Text/ものすごい愛
Banner design/saori・tanaka

※現在、多数のご相談をいただいております。
ものすごい愛さんに順次回答いただく予定ですが、隔週掲載となるためお待たせしまうこと、すべてのご相談に回答できない可能性もございます。
誠に恐れ入りますが、何卒ご容赦くださいませ。(AM編集部)