「なんとかなる」恋人と良好な関係を保つにはタフなメンタルが必要だ

最近つくづく実感していることがある。
恋人と良好な恋愛関係を築き保つのにはタフなメンタルが必要だということに。

先日こんなことがあった。
あらかじめ恋人から「奢るね」と言われた上でカフェに行ったにもかかわらず、彼とろくに会話もせずスマホばかり見てしまった挙句、「ありがとう」を私は言わなかった。

それだけが理由ではないけれど、その日の夜は喧嘩になった。
そのときに私がつまらなそうにしてスマホばかり見ていたことと、ありがとうを言わなかったことについて指摘されてしまった。

そのこととタフさが欠かせないと思ったことと何が関係あるのかこれだけでは意味がわからないだろうが、この日私がカフェに奢り前提で行ったにもかかわらず彼そっちのけにしてしまっていたのにはワケがあった。

私がスマホに集中してしまった理由

私はいつものことながら、仕事の少なさで落ち込んでいた。

12月だけに限った話じゃないが、この月は新規の仕事が1件しか来なかった。
それと、依頼は来ていたものの他のイラストレーターの方に決まってしまったという連絡が2件。これがしんどかった。

せっかく良い仕事が舞い込んできても、イラストレーターとして私を提案してもいいかという連絡がまず最初に来るので最終的に他の人に決まるということもある。なにも私だけに声をかけているわけではないのだ。
制作系の会社に勤めた経験もないので詳しいことはあんまりわからないが、クライアントがベストだと思うイラストレーターを選んでもらうために企画の内容やクライアントの好みに合いそうなテイストの人を何名か選ぶのだろう、私はそのうちの一人に過ぎない。
私を見つけて選んでくださった方には感謝が尽きないが、最終的に誰を採用するかは向こう次第。

なので基本的に良い内容の仕事の連絡が来た場合はなるべく期待をしないようにしている。
「どうせ自分の絵は大したことがないし知名度も高くないのだから他の人に決まるに違いない」
そうはいってもいざ他の人に決まったという連絡が来るとやっぱり落ち込んでしまう。
「ああ、やっぱり自分の絵は大したことないし、しかもダサいしな」
そんな風に自分で自分を納得させてしまうし、より卑下してしまう。

しかもちょうど落ち込み始めた時期は年末間近。年末といえば「来年もこの仕事で食っていけるんだろうか」という不安にもっとも苛まれる時期だ。
畳み掛けるようにして不安が私の背中に頭にドシドシとのしかかってしまった。

私の脳内はこのようになる。

最近なんか暇だな、何もしてなくない?

暇なのは仕事してないからだ

仕事したいと思ってもしないといけない仕事が無い

自分の仕事の少なさに気付き、落ち込む

今月の仕事が少ない=来月の収入が少ない(基本よく月末支払いなため)

来月の収入が少ない=来月のカードの支払いが心配(よく考えてお金を使えという話だが)

払えなかったらどうしよう、で頭がフリーズ

バイトするしかない

バイトを探すも飲食も接客も単純作業も日雇いもどれも怖い

興味のある仕事内容でバイトを探すと学歴とスキルが無く、応募資格に満たない

学歴とスキルが何も無い自分に落ち込む

バイト見つからない

絶望(インスタのストーリーに限定公開でネガティブな投稿をする)

こんな絵に描いたようなダメ思考ですぐ脳内が支配されてしまうわけだから、当然恋人とのデートを楽しむ余裕などあるはずがなく。
カフェに入ってテンションが一応上がりケーキを頼むも、私の身体はありえないくらいに正直なので絶え間ない不安によって脳にバグが生じてしまい、ケーキが途中から喉を通らなくなってしまった。

バグ症状は喉だけでは止まらない。なんとカフェは百貨店の8階にあった。私は高所恐怖症なのだ。
私はつい、8階という高さを想像してしまった。
「どうしよう、もし地震が来たら逃げられない、死なない程度だとしても8階だしめっちゃ揺れる、怖い、どうしよう」
これはいわゆるパニック障害における予期不安というやつで、ここでストップがかからずますます不安が加速してゆくと発作へとグレードアップする。
予期不安最中「これはただの予期不安、脳のバグだ」とわかっていてもそれを自分に言い聞かせるために全エネルギーを集中しなければならない。彼と楽しく会話なんてする余白がない。
少しでも気をそらしたくて私はスマホに全集中してしまった。

さらには、さっきまであんなにケーキケーキうるさかったのにケーキを美味しそうにぺろっと平らげられなかった罪悪感。
ならばいっそのこと奢ってもらわず自分も半分お金を出せばよいものを、頭の中は「ケーキ全部食べられなかった、どうしよう、奢らせてしまう、お金出したほうがいいかな、どうしよう、ありがとうと言わなくては、どうしよう」
……結局彼は会計を済ませ、私はお礼を言えず。
それどころか彼がエレベーターで降りるか気を遣って提案してくれたにも関わらず、私は「どっちでもいい」と答えた。
バグが起きると私は閉所恐怖症にもなるのだ。
説明してエスカレーターで降りたいと言うべきか、しかしそんな説明をしてめんどくさい女と思われるのも辛い。迷いに迷っての「どっちでもいい」が口から出たのだった。
「ありがとう、でもエスカレーターの方が安心するから」
と返せばよかったのにと今は思う。