齢29にして、そういえばまだ誰かを愛したことがないと気付いた/oyumi

30になろうとしているというのに私はまともな恋愛を経験できていないし、そもそもまだ誰かを心の底から好きになったことがないんだということに近頃気付いてしまった。
「みんなが当たり前にやっている普通の恋愛を経験したかった」
これが今の私の口癖だ。みんなが当たり前にやっている普通の恋愛とはなんぞや。私が想像する普通の恋愛といえばこんな感じだ。

・記念日を祝う
・誕生日を祝う
・クリスマスなどの季節のイベント事を二人で楽しむ
・プレゼントを贈る、貰う
・水族館や動物園、映画館のようなところへデートしに行く
・二人で旅行をする
・なんでもない電話をする

上の7つをすっ飛ばしていきなり同棲を始めたことなら過去2度あった。同棲といえば実に恋人同士らしい響きでよきかなよきかなと思うが1人目のときは1ヶ月で追い出されたし、二人目のときなんて一週間で追い出されている。良い思い出なんて何一つない。
結婚を前提になんていうロマンチシズム溢れる交際も一度はあった。しかしどうだ、相手は最終的に精神病棟に入院することとなり1ヶ月程度で関係は終了した。そしてこの経験は私にとってトラウマを超えるものともなった。(面倒なので何があったのかは書かないが)

今まで付き合った男性たちを振り返る

今まで付き合った男の人数だけを言えば6人。数字だけを見ればどちらかというと多いのかもしれない。
ところが私のこれまでの交際期間は平均したら1ヶ月もあるか怪しいものときた。

1人目は18歳のときで、出会いが今は懐かしいAlfooが流行っていた時代に作ってた携帯サイトだった。遠距離だったこともあり正確な期間は覚えていないけれど多分1ヶ月だったと思う。
2人目は19歳、2週間くらい。
3人目も19歳、1ヶ月半。
4人目は20歳、一番長かった人だけどでも3ヶ月だった。(セフレ期間を入れればギリギリ半年だろうか)
5人目は24歳、1ヶ月くらい。
6人目は26歳、1週間ジャストかもうちょい。

現時点ではもう3年彼氏がいないことになるけどこんなに短すぎると「付き合ってる」がどういう状態のことを指すのか正直まったくわからない。
3年いないけど3年前なんて1週間しか付き合っていないのだ。それもお互いが好き合っていて付き合ったのではなかった。私が「こんなにちゃんと好きと言ってくれる人今までいなかったしこれまでも現れないかもしれないからきっと付き合ったほうがいいんだ」と思ってなんとなく付き合ったようなものだった。

そうだ、そういえば私はこういう「なんとなく付き合う」が多かった。
「こんなブサイクな自分を良いと思ってくれる人なんて他にいないだろうから」
「こんなブサイクな自分に性欲湧いてくれるならありがたいことだ」
「こんなブサイクな自分を好きだと言ってくれる人なんてこの先あらわれないだろう」
ほとんど、というか全員と付き合う理由がこの3つのどれかだった気がする。
好きだから付き合いたくて付き合った、なんて経験が私には1度も無い。

このあいだなんて通院している心療内科の先生に「自分に気がありそうだからイケるかなと思って告ったらだめでした」と相談したら「イケるからと思って告白するものじゃないでしょう」とマジレスをされてしまった始末である。
もしかしたら私が男の人と付き合っても全然うまくいかなかったのは相手のことをまったく愛していなかったからなのかもしれない。

「学生時代の自分だったら見向きもしないような男性がこんな私とセックスしてくれる」

自分にとって重要なのはそこだったし、付き合いたいと思う理由でもあった。
だからなのか、私は彼氏がいるときは絶えず相手の体を求めていた。
というより求めてほしくてしょうがなかった。自分の女としての価値は胸と性器にしか無いと本気で思っていたし、男の人を喜ばす方法もセックス以外に知らなかったのである。欲情されなくなったら自分が彼女である価値が終わると思っていたのだ。