ありのままに生きられない、姉妹ならではの根深い愛憎劇

――では、ストーリーについて聞かせてください。登場する三姉妹も全員独身なんですね。

ペヤンヌ:そうです。それぞれすぐにでも子どもを産みたいとは思っているのですが、それが親を喜ばせるためなのか、自分がほしいからなのか、ただ単に生物的に種を絶やさない使命に操られているだけなのかがわからない。そのうえ、親に「三人も女の子を産んだのに、誰も子孫を残していない」って、家系図が途絶える瀬戸際に立たされていることを指摘されて、背負っているものの大きさを考えさせられたり。三女がそこを突破しようとして彼氏を連れてくるのですが、そこも一筋縄ではいかず……。

――家系図の責任ですか!

ペヤンヌ:墓問題とかも自分は死んじゃったら関係ないって思うけれど、家系図みたいに歴史的なものを見ると、最期の止めるところになるのは悲しいなって思いますよね。おばあちゃんとかも頑張って戦後を生き抜いてきたのに、自分は精神的にこじらせているがために子孫を残さなかったとか。この三姉妹も同じような思いを抱えながら、“誰かひとりくらい”と思いつつも血を途絶えさせてしまうのかどうなのか……みたいなね(笑)。

――見どころたくさんの舞台ですね。では最後に、特におすすめの観点を教えてください。

ペヤンヌ:外見にコンプレックスを抱えながらも、頭の回転が速くてデキる長女。見た目には恵まれているけれど、長女とデキを比べられることでやる気をなくして“自分探し”に迷走する次女。年が離れた末っ子としてかわいがられながら育ったけれど、お姉ちゃんたちの確執を見てきたことで感情を押し殺してしまうクセがついている三女。そんな三姉妹の傷つけ合いというか、姉妹だからこそのより根深い女同士のドロドロを楽しんでもらえたらと思います。

――他人同士の女性より奥が深そうですね。

ペヤンヌ:姉妹って仲がいいときはすごくいいけど、一回ヒートアップしたら互いにいちばん傷つく言葉を知っている同士ですからね。それに、「お母さんに好かれたい」とか、「いい子に思われたい」とか、同じ母親の背後霊を常に背負って生きている人同士の関係だから、違う方向に行きたくても結局一緒のところにたどり着いてしまうような、母親の呪縛もついて回っているのが怖いですよね(笑)。タイトルにはそういった意味合いも込めているのですが、世間とか親とか、いろいろな呪縛でありのままに生きられなくてもがいているのは、あなただけじゃない。「ブス会*版アナ雪」として、“みんなもがくよね”ってことが伝われば嬉しいですね。

Text/千葉こころ