恋人になれたことに目を向ける

セフレというのは、友達より立場が上で、なおかつ信頼度が高い、というわけではありません。
体の関係がある分、通常の友達より知っている部分が多いのはたしかですが、ただセックスをしているというだけで友達であることには変わりはないはず。だから、たとえセックスしていようが、それ以外の部分でも恋人のような扱いを求めることはできませんし、なんなら友達として扱われるほうが理にかなっているのです。

友達同士なら、家に遊びに来たときに「見て、これ元カノが置いてったんだよ」と思い出の品を見せたり(それでも第三者に下着を見せるのは非常識極まりないですが)、友達という関係性から一歩踏み込まれないように「好きな人できるといいね」と牽制するのは、何も特別なことではないのではないでしょうか。

考え方のひとつとして、「彼の気持ちが変化したんだな」と捉えることはできませんか?
あなたは「今は私のことを好きだとかずっと一緒にいたいとか結婚したいとか言うくせに、どうしてそう思っているのならセフレ時代にひどいことをしたの」と言っていますが、それはあの頃から彼のあなたに対する気持ちが変化したからでしょう。
わたしがあなたの立場だったら、むしろ「セフレのときはあーんなに蔑ろにしてくれたけど、今は好き好き大好き結婚したいって思えてるってことは、それだけわたしが魅力的で彼の気持ちを変えたからだね!」とうれしくなります。

あなたが、最初は彼に対してなんとも思っていなかったけれどセフレ関係を続けていくうちに好きになったのか、それとも最初から好きだったけれど告白する勇気がなかった、もしくはとりあえずセフレというポジションでもいいから繋がっていたくて妥協をしたのかはわかりませんが、どちらにせよセフレという関係を選んだのはあなた自身です。
セフレ然として扱われたことを責めるではなく、念願叶って恋人になれたことに目を向けたほうが、あなたの気持ちは軽くなるのではないでしょうか。

許せる/許せないは自分で決めていい

一つ勘違いしないでほしいのは、当時あなたが感じた悲しみやつらさを否定しているわけではありません。
好きな人のデリカシーのない言動によって傷ついたという事実はなかったことにしなくていいですし、今も自分の中に残っている不安要素をどうにかしたいという気持ちは守ってほしいと思います。
しこりをずっとそのままにしておくのは、しんどいですもんね。

もしわたしがあなたの立場だったら、彼には「あの時さ、実はめちゃくちゃ傷ついてたんだよね! ほんとうにデリカシーなかったと思うよ!」と言うに留めます。
今さら過去の彼の言動はなかったことにできるわけではなく、結局は自分の留飲を下げるだけの行為にはなってしまいますが、それが落としどころではないかな、と。
それでも、「わたしはこういう言動で傷つきますよ」と相手に知ってもらうことはできます。
これは、きっと今後に付き合いにおいて大きなメリットになるのではないでしょうか。

あなたの中の選択肢の一つとしてある、「彼と別れる」というのも、決して悪いことではありません。
どうしても自分の中で許せないこと、譲れない部分は存在します。
たとえ誰になんと言われようと、理屈ナシにあなたが許せないのなら許せないでいいのです。

もし彼と話をしたうえで今後の付き合いを決めようと思っているのであれば、闇雲に吹っ掛けるようなことはしないでほしいと思います。
少なくとも、「彼がこういう発言や反応をしたら別れる/別れない」のラインはあらかじめ定めておくことをおすすめします。
たとえば、真摯に謝ってくれたり、当時の気持ちを嘘偽りなく話してくれたら「彼も徐々に気持ちが変化していったんだな」と受け入れるとか、「今さらなんだよ! 昔の話をするとかしつこいな!」と逆にあなたを責めるようなことを言ってきたら別れるとか。

このラインはあなたが決めることです。
その際、今のあなたの心情がどういったものであれ、過去に自分がセフレ関係を受け入れていた、という事実を棚に上げてしまわないだけ気をつけてほしいと思います。

Text/ものすごい愛
Banner design/saori・tanaka

※現在、多数のご相談をいただいております。
ものすごい愛さんに順次回答いただく予定ですが、隔週掲載となるためお待たせしまうこと、すべてのご相談に回答できない可能性もございます。
誠に恐れ入りますが、何卒ご容赦くださいませ。(AM編集部)

ものすごい愛さんの新刊『 今日もふたり、スキップで~結婚って “なんかいい” 』は、大和書房より好評発売中です。