「セフレ」に対する認識の違い
本題に入る前にセフレと恋人の違いについてお話をさせてください。
セフレという関係性は、本人たちの自由ですからもちろん否定しません。そもそも他者との関係は必ずしも綺麗にカテゴリ分けできるものではありませんし、できない理由や心情もそれぞれあるでしょう。
ただ、やっぱり恋人とは大きく異なる部分があると思うのです。
セフレというのは、その名の通り「セックスをする友達」です。
中には周囲に対して自分たちの関係をオープンにしている人もいるのかもしれませんが、「わたしたち付き合ってるんです」とは言えても「わたしたちセフレなんです」と堂々と紹介できる人は少ないのではないでしょうか。
たとえ言えたとしても仲の良い友達に「実はあの人セフレなんだ……」とこっそり打ち明ける程度で、職場や家族に「付き合ってはいないんだけど、たまに会ってセックスはしてるんだよね~」なんて言える状況はなかなかないはず。
それって、どこかに居心地の悪さや、周囲からどういったイメージを抱かれるかを想像したときに公表するメリットがないという認識があるからだと思うのです。
そういった認識の根底には、セフレと恋人の責任の度合いの差が関係しています。
ここでの責任とは、「恋人はその先に結婚がある」「妊娠したときにどういった対応をするか」といった社会的なものではなく、相手のパーソナルスペースに入って自分の言動に責任を持てるか、ということ。
セフレという関係性で主に授受しているのは、快感や気楽さでしょう。
その相手に、「将来のことを考えて転職してほしい」「他の人とはセックスしないで」なんて言えないですよね。
だって、たとえ相手が自分の言う通りに行動してくれたとしてもその責任は自分には取れないですし、そもそも相手を縛っていい関係性ではありませんから。
もちろん、誰の意見を取り入れようが、周囲の助言の通りにしようが、相手が自分で決めたうえでの行動は本人が責任を取るべきなのが筋です。
でも、もしそれが恋人同士なのであれば、「お互いの将来のため、今の関係性がよりよくなるためにあなたの人生に少し口を出させてね。その分、わたしもあなたとの将来を考えて、関係がよくなるための努力をします」という前提になり、二人の人生の責任は二人で取りましょうという姿勢をお互いに取れるのではないでしょうか。
相談文を読んでいて、あなたと彼とでは、セフレという関係性の捉え方がそもそも違ったように感じました。たしかに彼のしたことはデリカシーがないと思いますし、それによってあなたは傷ついたのでしょう。
もしかしたら、当時の彼はあなたのことを気楽で煩わしさのない存在として見ていたかもしれません。そう仮定すると、彼は特別ひどいことをしたつもりはなく、なんならセフレ以上の関係を求められないように牽制していた、とも考えられます。
まあ、これはあくまでもわたしの想像に過ぎませんが、彼の真意がどこにあったにせよ、関係性が変化した(セフレ→恋人)にもかかわらず、まるで変化していないかのような認識(セフレ≒恋人)で、関係性の時間軸を混同するのは違うのではないでしょうか。