人を大事にするスキルにもなる

たまーにだけど、わざわざ捨てアカウントを作って、私に批判や中傷などのリプライをしてくる人がいる。今のところべつに大したことは書かれないし、放置しておくと消えるので気にしていないが、他の人の話を聞くに、公表してない個人情報を書かれたり、家や職場に行くぞと脅されたり、ということもあるようだ。そういうのは明らかに一線を超えた嫌がらせ、ストーカー行為になってしまうだろう。

個人情報を見つけたり、その人につきまとったりするのがとても容易な時代になっている。インターネットはストーカーのために設計されたかのようなシステムだ。なまじっかネトストスキルが高い私は、「いつでも簡単にストーカーできる」ということを自覚して怖くなる。

ただ、物事は、スキルが高いからやるというわけではないし、スキルが低いからやらないというわけではないだろう。武術をやっている人は一般人には手を出さない。「ここで殴ったら死んでしまう」というのが分かるから一線を超えない。そうだよな、人を嫌がらせるスキルというのは、いつだって、人を大事にするスキルにもなる。

本格派ストーカーにならないために

どのくらいいるのかわからないけれど、私のように夜な夜なネトストをしては賢者タイムに陥って、自分が好きな人を怖がらせないかとおびえる同士がどこかにひっそり存在するとしたら。

ストーカーに走ってしまった友人に聞くところによると、嫌がらせをしている感覚はなかったらしい。「これ忘れてるかもしれないから言っとかないとな、LINE既読つかないな、LINEの不調かな? もしかしてスマホ壊れてる? 直接言ってあげないとな」などと、勝手に家に押しかけたりするのだそうだ。悪意のない善意だったりする。

そんな本格派ストーカーにならないためにできるのは、ネトストはオナニーであって、自分を満たすためにこっそりするものなのだ、と自覚することだと思う。間違っても人と距離をつめる手段ではない。キモくて、無意味なものだけれど、自分ひとりで楽しむ分には咎められるものではないだろう。

ちなみに私は最近、大好きな男のアカウントを発見し、「巨乳が好き」とかいうのを読んで数日寝込みました。ネトストは生活に支障が出るのでほどほどに……って、ほどほどにできるなら元々してるわ。諦めて職人を極めます。

Text/雨あがりの少女