広田さんはサシ飲みで…
そして翌週、広田さんとのサシ飲みとなった。まさか憧れのマドンナが目の前にいるわけで、これには彼女のいた会社の男性社員が頭から火を噴いて怒りそうなものだと思ったが、どういうことか彼女は僕なんかを誘ってくれた。
この日、広田さんは「ねぇねぇ、また来週会わない?」と言ってきた。立花さんのことが気になったが、広田さんと一緒にいるのも楽しい。いや、エロはしないからこれは浮気ではない――そう自分に言い聞かせ、翌週も飲み、その翌週は昼から横浜へ一緒に行った。完全にデートである。
そしてこの晩、「ニノミヤさん、私たち、気が合うと思うから付き合わない?」と言われた。なんということだ! それを1ヶ月前になぜ言ってくれない! しかし立花さんという交際相手がいることを言わず僕は優柔不断男の典型のように「あっ、まずはもう少し会いましょうよ」と言った。
そして立花さんと付き合いつつ、広田さんとも時々会う(エロはしていない)生活が開始したが、あるとき、立花さん同様、広田さんはこう言ってきた。
「そろそろニノミヤさん、私と付き合うか決めてよ。私だってもう29歳。付き合う相手とは真面目に付き合いたいの」
そして、一発エロをしてしまえば既成事実になると考えたのか、彼女は近くのラブホテルに向かって僕の手を引きながら歩いていく。当然こちらはもう興奮しているため、抗えなかった。
部屋に着くなり濃厚な初キスをし、そのまま全裸になり、抱き合った。アソコをしゃぶってきた。この瞬間は大好きなのだが、何かが違う。なんと、彼女はギンギンになったアソコに歯を当て、噛みついてきたのだ!
正直痛かった。恐らく、以前付き合っていた男が噛まれるのが好きだったのだろう。この不意打ちには参ったが、彼女にとってはこれが抜群の性技だと思っていたのだろう。なんとなくこの奇妙なフェラチオを数分してもらった後、僕も彼女のアソコをなめ、いよいよ結合、ということになったのだが、いつものニュルッと入り、ズンと奥に行く感覚がない。
ニュルッで止まり、何やら向きを変えなくてはいけないのだ。多分僕のアソコと彼女のアソコは相性が悪い。さらに、彼女は大量の汗をかき、それをなめるよう要求し、唾をダラリと垂らして僕の顔面に落としてくる。
これまででもっともヘンテコなエロ行為だった。
結局後日、広田さんには付き合えないことを伝えた。彼女の本当の性格もさることながら、エロの相性が悪かったのだ。理由については「実は付き合っている人がもういる」と正直に伝えた。そして頬をビンタされた。それは僕が悪い。以後、立花さんとの穏やかな日々が開始し、今に至る。
Text/中川淳一郎
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