相手にコミットしようとして…
そして実のところ、わたしもそういうターンに入ったことがあって、それは運命の王子様だと思う人と出会ったから! ……ではなく、むしろ逆。「どこかに自分とぴったりと来る相手がいて、いつかその人と出会える」という夢から覚め、「恋愛というものは、自分で選択をして、この人だと決めた相手と関係性を築いていくことだ」と考えを改めたことがきっかけでした。それまでは相手の気に食わないところがあると「わたしの理想と違う!」とイヤイヤして相手側の譲歩を導き出していたのが、「関係性はふたりで築きあげるもの」と人の心を持って相手にコミットするようにしたら、みるみるうちに相手のペースに巻き込まれることになってしまったのでした。
「なんだか違う……」と思いながらも「愛は求めるものではなく、与えるもの」というような、いま思えば優しい恐喝のような言葉を拠り所にして、パートナーと居心地のいい関係を作ろうと思っていたけれど、完全にそれは失敗してしまった。それはたまたま、「相手にコミットしようとするターン」と「ヤバい相手」が重なってしまったという不幸もあったかもしれないけれど、やっぱり人生の下駄は人に預けちゃあ、いけない。なぜなら終わった後には怨みつらみしか残らないから。
Text/大泉りか
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