わたしの住む東京都は、目下、二度目の非常事態宣言下です。とはいうものの、昨年の発令時とは違い、今回は小中学校や高校などの一斉休校はなく、保育園についても基本的に開園してくれるということで、在宅で働くフリーランス母としてはほっと首の皮がつながった気分です。だって、4歳児が「ウルトラマン、変身ッ!」と大騒ぎしている横で、おっきく変身したオチ〇チン星人がウルトラマ〇コと組んずほぐれつする官能小説を書くのはさすがにしんどすぎる。
「保育園は閉まらないで」は自分勝手?
しかし世の中には、「保育園、どうか閉まらないでほしい」と親が願うことについて、けしからんとする人もいるようです。保育園が閉まらないということは、保育士さんは感染のリスクに晒されつづけることになるし、当の子どもたちだってもちろんそう。ゆえに「保育園、どうか閉まらないでほしい」と願うのは、親の自分勝手だし、金よりも命が大切だろうって、そういう理屈です。
“保育園に子どもを通わせている母”という共通点があったとしても、その実情は様々で、本当は働きたくないのだけど、家計のために仕方なく仕事を続けているという人もいるし、逆に生きがいのために働いているという人、はたまた働いていなくても、病気だったり、家族の介護をしていたりする人もいます。
ワーキングマザーという立場は同じでも、この状況でも出勤しないといけない人、夫婦ともに在宅のテレワークに切り替わった人、妻だけがテレワークに切り替わった人、自宅に落ち着いて仕事ができる場所がある人、ない人というように状況もさまざま。さらには、保育園が閉まれば会社を休める人、保育園が閉まったとしても休めない人もいて、その上、自宅で子どもの面倒を見ながらだって仕事もできるという人もいれば(いるのか? いや、きっといるのでしょう。世の中は広い)、そもそも子どもと24時間ずっと一緒にいることがしんどいという人だっている。
他者の集団、それこそが社会
どっちが偉いとか、どっちはダメとかではなく、ただただ、いろんな人がいる。そのそれぞれに状況と思惑がある中で、どうして自分の意に反する人に対して、「自分勝手」という言葉を投げて傷つけなくてはならないのか。もちろん社会全体のことを考えるのは大切だろうけど、だったら、少し他者を尊重してもいいのではないかと思うのです。だって他者の集団、それこそが社会ではないか。
というわけで、わたしはクリ派ですが、中派の人のことだって、もちろん否定はしない。中派の人に「クリを触られたらくすぐったいって、もったいない~。鍛えたらいいんじゃない?」なんて言わないし中派の人に「中でイクほうが気持ちいいのに、実は中ではイケてないんじゃない?」なんてことも言われないで、生きていきたいです。
Text/大泉りか