選ばれる前に先にこっちから選ぶ!

――モテについて語ると承認欲求が強いとか、痛いイメージを持つ人も多いような気がしますが、とはいえ「モテたいわ!」っていう女性も少なくないと思うんです。

紫原

同じ場所に並んだりするのは辛くても、やっぱり人間みんなちやほやされたいですもんね。なんか、モテてる女の子しか入れてもらえない世界があるような気がしてたんですよね。

一同:あ〜〜〜(納得)。

紫原

キラキラした世界にいる子たちがものすごく楽しそうに見えていた気がするな。昔はその扉の向こうに特権的な、無限の可能性に満ちた世界が広がっていると思ってました。本当にそんなのがあるかは置いといて。

長井

そんな世界があると思う理由の中に、飲み会で、あからさまに女性の扱いに差をつける人の存在がありますよね。そもそも、その場を盛り上げようとしている子の方が絶対良い女なのに、盛り上げてない外見がいい子の方がチヤホヤされる。なんでそうなる!? って思います。

紫原

なんで女性は選ばれる側に回っちゃうんだろうね。

長井

一度飲み会の席でとにかく気に入らない男がいて。「モデルなの? ハァ〜ン?」みたいな。だから先にこっちが選ぶ側になってやろうと思って、違う人ばかりに「すご〜い! そうなんですか!」って興味持ったふりして、そいつには塩対応してやりました(笑)。それが効いたかはわからないけど、そういう人も少しは自分が受けた対応を後で振り返るのかな。

紫原

敗北は感じてそうですよね。何より長井さんみたいに、女性側が「あなたとは関わりたくないです」って意思表示することは、これからのモテとかを含めた様々な人間関係にプラスになるんじゃないかな。

モテを目指す自由もあっていい。だけど

――昨今は雑誌のモテ特集が古いと言われ、一方でモテを意識した“あざと可愛い”という言葉が話題になったりと、モテに関する考え方は二極化していると思うんです。

長井

私自身小さい頃に雑誌で書かれているようなモテテクを実践しようと思ったことがないから、女児向け雑誌のモテ特集に怒る人はある意味一番そういう価値観に囚われて大人になったんだと思うんです。だからこそ呪いを断ち切ろうとしているのかもしれないけど、子供は子供なりに自分が欲している情報を選んでいるから、モテを目指す自由もあっていいと思いますね。

紫原

TikTokなんかを見ていると、今の子たちはモテること以上に可愛くなることに囚われてるのかも。だけどこれからは話の面白い女がモテてほしい! まだまだ全然、話が面白い女の魅力が発掘されてない。

長井

つまんないやつほどモテてる感じがしますよね…。

一同:(笑)

紫原

逆に男性の方は、面白い話をしようとか気負わないで、普通に会話のキャッチボールができる人がいい。最近流行った『バチェロッテ』を観たりしても、「キャッチボールできる人絶滅した!?」って思うほど男性参加者と女性との話が噛み合ってなかった。(男性が選ぶ側の)バチェラージャパンシーズン3は一目惚れした女性にずっと心奪われたままなんだけど、女性が選ぶ側にまわるバチェロッテは、話をする中で好意を寄せられる男性がどんどん変わる。話しができるかってほんと大事だよね。

長井

私も最近は、会話にならない人からちやほやされても虚しいだけなんだなって思うようになりました。話しているうちに興味を持ってもらえるようなモテ方がしたい。

柴原

そうそう! 面白い子、例えばものまねが異様に得意な女の子とかがモテたりする世の中になるといいね。ギャグセンスの高い女性は国宝ですよ。

――最後に、やはりモテたい!と思っている女性にひと言お願いします。

長井

身近にモテたいって言ってる友達がいるんですけど、彼女がデートの時にネイルもエステもして最高の状態に仕上げたのにドタキャンされて落ち込んでたことがあって。私は結果的に綺麗になったんだから良いじゃんって思うんです。違う目的のために頑張ってたらモテた! みたいなパターンを狙いましょう。やっぱりモテを一番の目的にしたら案外上手くいかない。

紫原

世の中ハッタリで動いているから、自己暗示をかけて
「私、モテます!」って雰囲気を出しておくと周りも「そ、そうなんだな」となると思う。私が“選ばれる”のではなく“選ぶ”を気迫で出してこう。

TEXT/苫とり子
Photo/サカモトミナミ

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