勇気を出して断るのだ

彼女と友達でいたい。その気持ちが私の中には確かにある。だから、食事に行くし、重たくても名前を書く。だけど、その気持ちのせいで自分が辛かったらダメだって、心を壊したときにやっと気がついた。心を壊してまでやらなきゃいけない仕事がないのと同じように、一緒にいるべき人だっていないはずだ。そこまでわかっていても、手放すのには勇気がいる。彼女は、私に会いたがってくれているのだ。それは必要としてくれているってことで、そんな彼女を突き放すなんて、ひどいんじゃないかって考えてしまう。実際にそのせいでずっと関係を断ち切れなかった。だけど、大きな声で言うね。ひどくなんてな〜い!!!!!

仕方がないんだよ。全ての「必要」に応えることなんてできない。だって、私たちはスーパーマンじゃないし、ここは物語じゃないんだから。自分を犠牲にしてまで必要に応える美学がこの世界にはあるけど、そのせいで今自分が壊れたら、この先救えたはずのものも救えなくなっちゃうよ? 何よりしんどいし。だからぶっ壊れる前に、無理して「この子は友達だから」って自分に言い聞かせるのをやめてみてほしい。そんな呪文は唱える必要ない。

私はそれに気付いてから外出が減ったけど、すくすく毎日を過ごせている。「迷ったら行かない」これだけでいいのだ。気の進まないお誘いが来たら「ごめん予定ある」って送ればいい。それでその日に一人で映画を見る予定とか入れちゃえばいいんだよ。

やってみると大したことはない。誰かと友達でいるのをやめたからって、あなたが冷たい人間になるわけじゃないです。何にもひどくないよ。思いやりと自己犠牲は違うんだから。友達の呪縛に苦しむあなたの明日が、少しでも軽やかなものになりますように。

TEXT/長井短

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