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手段を選ばない「ヤバい女」

ヤバいヒロインにもっと会いたくなったら、迷わず差し出したいのが『女神の見えざる手』

手段を選ばない、なんなら目的も選ばない。超えてはいけない一線の上を堂々と綱渡りする最狂ロビイストの物語です。

ロビー活動とは主に企業や利益団体などが政治に影響を及ぼすべく行う一種の広報活動のこと。リサーチやキャンペーンなどを使って世論や議員に働きかけ、クライアントの主張を通す。日本ではあまり表立って行われることはありませんが、専門にしている会社も存在しています。

極めて有能かつ危ない橋を渡ることで著名なロビイスト・エリザベスは銃規制強化の法案を潰したい大物クライアントを邪険にして上司と大揉め。そこに近づいてきたのは決して大手とは言えない、しかし志を持って銃規制法案を通そうとするロビー会社。クライアントの立場も資金力ももちろん雲泥の差。

それでも自らの主義と、何より「勝てば空前絶後」の大勝負に惹かれたエリザベスは部下を率いて会社を移り、違法すれすれの手まで使って法案の可決に向けて動き始めますが……。

爆弾は出てこないし血も流れない、なのにこの上なくスリリングな知の攻防を描いた映画です。

面白いのは冷徹な仕事人間としてのヒロイン像。例えば三大欲求について「食べない!」「寝ない!」「セックスなんてしてられない!」っていうストイックさはワーカホリックの王道ですが、エリザベスは毎晩同じ店で味に頓着せず同じものを食べ、あらゆる種類の薬を使って少ない睡眠時間をコントロールし、気の向いたときにお金を払って男性を呼ぶ。人間らしい欲求はそのままに、かえってドライさを感じる生き方の描写が秀逸です。

『ゴーン・ガール』『女神の見えざる手』も、一人の突き抜けたヒロインを軸に展開しつつも決して「女はこわい」なんて安直な結論に至る話ではありません。そこには確信を持って配された多くの個性的な女性が登場するからです。全くタイプの違う女たちがピンボールがぶつかるように影響を受け、そして与える。

「彼女たち」それぞれの人格と生き様は、観る度「女ってなんてスペシャルでユニークなんだろう!」と感動させてくれます。

そもそも性別なんか関係なくすべての人間が雪の結晶のようにユニークな存在。映画ではまだまだステレオタイプにはめられがちな女性像を良くも悪くもぶっ飛ばしてくれるアウトローなヒロインにはどうしても心掴まれてしまいますね。

そう、たぶん「女はヤバい女に弱い」のです。なんてね。

TEXT/気絶ちゃん
SUPPORTED/U-NEXT

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