『アル中ワンダーランド』(扶桑社)、『ハルモヤさん』(新潮社)で、人気ブロガーから一躍大ヒット漫画家になったまんしゅうきつこさんと、『男しか行けない場所に女が行ってきました』(イースト・プレス)、『母がしんどい』(KADOKAWA/中経出版)などで女性をめぐる社会のありようを鋭く見つめる田房永子さん。
雑誌の対談で初めて会って以来、プライベートでも仲の良い2人が、去る7月31日にトークイベント「きつこと永子の2人会~旦那と宇宙とダウジング~」を青山ブックセンターで開催しました。
パワーストーン、チャクラ、UFOなど、なにやらあやしい精神世界のトピックが次々と飛び出した前回ですが、「作家が書けなくなったら、半分は精霊のせいらしい」という田房さんのお話からは、“自分の外にある大きな力の存在”を仮想することで、不安や悩みからうまく心のバランスを取ろうとしているようにも見えました。
後編となる今回は、2人が催眠療法によって見た前世の話で盛り上がります!
孤独な足軽に、身売りされた女郎……
前世からの使命で生きている2人!?
- まんしゅうきつこ(以下、まんしゅう)
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他にわたしと田房さんの共通点といえば、自分の前世を見たことがあるってことじゃないですか?
- 田房永子(以下、田房)
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わたしがヒプノセラピー(催眠療法)で見た前世は、大阪城の足軽だったんですよ。一人でいるのが大好きで、友達や他の足軽ともつるまずに独身のまま死んでいったみたい。でも、死ぬ前に「奥さんがいる人生もよかったかな」と思って、来世では自分のような孤独な男を癒す女性として生まれ変わるぞ、と決めたらしいんです。
- まんしゅう
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そんな決意を……。
- 田房
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でね、よくよく考えたら、わたしの祖父、父親、友人、歴代彼氏、夫、本当にみんな一人が大好きで、つるまない男性ばかりなんですよ。わたし、今は女性の人権的な視点から怒りのコラムを書いたりしてますけど、使命は男性を癒すことだったの!?と思ったら、冗談じゃないんだけど……って複雑な気持ちになりましたね(笑)。でも、人間の使命なんてそんなもんかもしれないし。
- まんしゅう
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わたしは、取材ではじめに催眠術スクールに行ったんですけど、実はそのときはまったくかからなかったんです。“カタレプシーの誘発”といって、催眠術にかかるには、相手のことを信頼する段階を踏まなきゃいけないらしいんですけど、わたしはその催眠術師をはなから「うさんくせえなあ」って思っちゃってたんですよね(笑)。
そしたら案の定、「あなたの手はガチガチに固まります」とか言われてるのに全然ならなくて。最後のほう、催眠術師がキレちゃったんですよ。「あのねえ、かかったフリをするのも大事だから」って(笑)。
- 田房
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えーやだ!「セックスのときは気持ちいいフリをして男性を盛り上げろ」って言う人みたい(笑)。
- まんしゅう
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本人がノリノリになって「わたし今、催眠術にかかってる!」っていう状態を作るのが大切らしいんですよ。
- 田房
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それを作るのが催眠術師の仕事じゃないんですか?
- まんしゅう
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まあでも実際、猜疑心が強かったり疑り深い人って本当にかからないんですって。だからそこはあきらめて、次に治療行為として前世療法を取り入れているメンタルクリニックに行って、退行催眠を受けたんですね。そしたら今度はかかったんですよ!
最初に黄色い鼻緒が見えて、だんだん走って逃げる自分が見えてきて。どうやらわたしは、江戸時代のすごい貧しい農村の娘で、家族を食わせるために遊郭に売られた女郎だったらしいんですよ。で、その仕事に疲れ果てて、最終的に自殺しちゃってるんですよね。だから「今回の人生では、長生きすることがあなたの人生の課題ですよ」と言われて。
- 田房
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思い残した前世の子のためにも、天寿をまっとうしなきゃいけないんだ。
- まんしゅう
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しかも、この話には続きがあって、そのあと占いも受けに行って、そこでも前世を見てもらったんですよ。タロットを5枚選んでって言われて、念を込めて開いたら、占い師さんがうわっと悲鳴を上げて「女郎だ」って言ったの(笑)。しかも、「若くして死んでる」って。編集さんと顔を見合わせてびっくりしちゃって。
- 田房
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そうなると信じないわけにはいかないですよね……。
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