マッサージ店に優しさを買いに行く

たどたどしい日本語を買いにマッサージに行く

手からいろいろなものを出すドレス姿の手品師のイラスト

私のよく行くマッサージ店は、店名が韓国語で、店員のお兄さんは中国人、売りは台湾式足裏マッサージという国際色豊かなマッサージ店だ。おまけにその台湾式足裏マッサージが大して気持ちよくない。じゃあ何でそこに通っているかというと、マッサージ師のお兄さんのたどたどしい日本語がたまらないからである。

彼ら、マッサージの最中はだいたい無口で、たまに口を開いても、同僚と中国語で二、三言、会話を交わす程度。けれども毎回、施述が終わると、日本語で一生懸命ポイントカードの説明をしてくれる。

「ポイントカードはじゅっかいのいっかいでぜんぶをごふんです」

毎回こんな感じの説明なので、残念ながら未だにポイントカードの使い方がよくわからない。でも、たとえ肝心な内容が伝わらなかったとしても、健気に伝えようとしてくれているその姿勢が、もう最高にグッドなのでそれでいいのだ。
たまに途中で話すのを諦めて、ハハッ、と恥ずかしそうに笑ったりするのもまたとても良い。言葉の通じない日本にきて、一生懸命頑張っているんだなあと陰ながら応援したくなるし、足裏マッサージで全然疲れがとれなくても、不思議と私も頑張ろうという前向きな気持ちになれる。