まずは自分自身が楽しんで生きることが先にある

ブエノスアイレスのキッズたちもまた、遠足のお弁当にポテチを持たせたことで、特に親を恨んだりはしないだろう。まあそれはみんながみんなテキトー弁当なのでまわりと比べないで済むからかもしれないけど、別の国の状況に目を向けてみると、手をかけて料理を作ることが子供にとっての「絶対」ではないと、わかるのではないだろうか。

『ヴィオラ母さん』のリョウコさんは、空や雪の美しさに感動し、虫や動物たちとの交流に心を震わせる人だったらしい。ヴィオラ奏者として情熱的に生きる姿は、マーガリンパンで多少惨めな思いをしても「ま、しょうがないか」と子供を納得させてしまう。まずは自分自身が楽しんで生きることが先にあって、その姿さえ見せていればおそらく子供は勝手についてくる。私に子供はいないけれど、独身の人も自分と親との関係を振り返るにあたって、このエッセイと読むと何か気付くことがあるかもしれない。

別にもともと恨んではいなかったのだけど、私の母のテキトー弁当の思い出は、この本を読んだことによって、見事に成仏したのであった……。

初の書籍化!

チェコ好き(和田 真里奈) さんの連載が書籍化されました!
『寂しくもないし、孤独でもないけれど、じゃあこの心のモヤモヤは何だと言うのか -女の人生をナナメ上から見つめるブックガイド-』は、書き下ろしも収録されて読み応えたっぷり。なんだかちょっともやっとする…そんなときのヒントがきっとあるはすです。