ここで最初の「美しい容姿を持つことは人生の充実感や幸福度にどれくらい影響するのか？」という私の問いにもどる。

自分の経験から考える限りでだけど、この問いに対する答えは「あんまり関係ない」が正解じゃないかな、と最近は感じ始めている。より細かくいうと、20代まではちょっと関係しているかもしれないけど、30代以降はほとんど関係ない。さらに細かくいうと、仕事ではちょっと関係しているかもしれないけど、意外なことに恋愛では本当に全然関係ない。やっぱり何かしらの「自信」を持っている人に私たちは惹かれるわけだけど、容姿に自信を持てないのなら、他のところで自信を持てばいいだけだ。

「あんまり関係ない」と実感したその先に、自分がどうしたいかが大切だと私は思っている。ここまで「メイクやおしゃれを頑張る必要なんてない」と散々書いたけど、私自身は（センスはともかく）メイクやおしゃれが好きで、すっぴんで外出することがほぼない。「あんまり関係ない」と知った上で、社会からの強制や抑圧ではなく、ただやりたいからやっている。

メイクも、おしゃれも、ヒールの靴を履くのも、そして美容整形も、「美人になったら自信が持てるかも」「綺麗になったら彼が振り向いてくれるかも」「社会ではそれがマナーだから」ではなく、「やりたいからやる」になれたら、苦しい人は減るのではないだろうか。

面倒に感じる人はやらなくていいし、そのことでいかなる不利益も被るべきではない。そういう社会へ変わることを、私は強く望んでいる。すぐに社会が変わることはないだろうが、強く望むことは、その第一歩にはなるだろう。

Text／チェコ好き（和田真里奈）
初出：2019.10.12

チェコ好き(和田 真里奈) さんの連載が書籍化されました！
『寂しくもないし、孤独でもないけれど、じゃあこの心のモヤモヤは何だと言うのか －女の人生をナナメ上から見つめるブックガイド－』は、書き下ろしも収録されて読み応えたっぷり。なんだかちょっともやっとする…そんなときのヒントがきっとあるはすです。