Nik MacMillan
近藤麻理恵さんの『人生をときめく片付けの魔法』が大ベストセラーになり、ついでに「断捨離」という言葉がブームになった頃、この流行はいつか終わる、と当時の私は思っていた。しかし結論からいうとご存知の通り、流行は終わることなく、「断捨離」はもはや流行語ではなく日常に定着した感がある。
私の予測は見事に外れたというわけだ。
一方で、「部屋は住んでいる人の心の状態を表す」などと言われ、「片付け」や「断捨離」がスピリチュアルなものとセットで語られる機会も、多く目にするようになった。「部屋を片付ければ運気アップ! 恋も仕事も上手くいく!」的なことを謳っている本は書店に行くと山ほどあり、某子供向け通信教育のダイレクトメールを思わせるほどだ。
確かに部屋が片付いていると心が落ち着くし、掃除をすることが人をマイナスに導くことはほとんどないだろう。私も実は風水だけはけっこう信じていて、財布や定期入れの色、部屋に置く鏡の位置などには気を遣っている。高額な壺などを買い始めたりしなければ、この「片付けスピリチュアル」は副作用が極めて少ないので、願掛けとしてやるぶんにはいいのかなと個人的には思っている。
しかし。片付けができたからといって、恋も仕事も上手くいく……わけではないと思う!
私は部屋がわりといつも片付いているほうなのだけど、落ち込んでいるときに書店で「片付ければすべて上手くいく!」みたいなことをいっている本を見かけたとき、「嘘つけ! 上手くいかんわ!」と泣きたくなったことがある。
片付けや掃除による精神的効果はあるけれど、「すべて上手くいく」の域までいってしまうと、それはちょっと期待しすぎだ。片付けはあくまで片付けである。