せっかくならハッピーな空想を!代々木八幡にある「リトルディッパー」のマスターが教えてくれたこと

目に飛び込んできた「暇を欠く店」という看板

すみやかに夏が去って秋がやってきたかと思えば、急激に暑い日が戻ってくるなど寒暖の差が激しく、季節の変わり目を実感するこの頃です。皆さまはいかがお過ごしでしょうか?

先日、NHKの「ごごナマ」に生出演させていただいた帰り道のこと。普段はあまり馴染みのない地域でしたので、まだ訪れたことのないお店へ寄って帰ろうと決めていました ので、思いつくままに代々木八幡駅のほうへ散策していると、「暇を欠く店」の看板に目が留まりました。

リトルディッパーの画像
リトルディッパーの画像

開いていた扉の隙間からちらりと中を覗くと、何やら天井からぶら下がっているカラフルなものが視界に飛び込んできました。「これは面白そうだ」と足を踏み入れると、男前でにこやかなマスターが「いらっしゃい。16時までだけどいい?」と話し掛けて下さいました。時計を見ると閉店までは30分ほどありましたので、お邪魔させて頂くことに。アイスコーヒーを注文し店内を見渡すと、この気になっていたカラフルなものの正体は、なんと風船で作られたキャラクターたちでした。

リトルディッパーの画像

とても良くできている作品たちを眺めながら「こちらはマスターの手作りですか?」と尋ねると、「そうだよ。やってきた子供たちにプレゼントすると喜ばれるんだよ。どれ、あなたにも一つ作ってあげよう」と細い風船が大量に入った箱を取り出し、器用に空気を入れてくるくるとねじっていき、あっという間に可愛らしいブレスレットに! 「腕を出して」と言われるままに差し出すと、私の左腕には、桃色の花が咲いたのでした。

リトルディッパーの画像

これだけでも十分に看板に書かれた文字を裏切らない楽しさですが、マスターの含蓄がある話はいつまででも聞いていたくなるものばかりでした。たとえば、こんな話。

「最近はみんな忙しいし、疲れていて『大変だ、大変だ』っていうけれど、『大変』って言葉を頭の中に書いてごらん? ……書けた? どんな文字だった?」と尋ねられ、僅かに考えてから「大きく変わる? でしょうか」と答えると、「そう! そうなんだよ。『大変』って言葉を最近はあまりよくないことのように使われたりするけれど、大きく変わるチャンスだと思っているんだよね、僕は。何でもそうだけど、頭の中で強く思っているほうに進んでしまうのだから、どうせならなるべくハッピーなことを思っていたいよね」と説得力のある力強い笑顔で言い放つのでした。

リトルディッパーの画像

喫茶営業は16時まで。夜の18時からはバー営業となり、色々な人がやってきてはお酒を飲んだり、食事をしたり、話をしたりと満足そうに帰っていくそう。入口で販売しているマスターお手製のクッキーは持ち帰りも可能です。この日は、レモン、ラムレーズン、ピーナッツバターを購入しましたが、どちらも美味でしたのでぜひ。

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『大変』な時は「大きく変わるチャンス」。ここを訪れてからというもの、くじけそうな気持ちになると自然とマスターの笑顔とその言葉が心にふわりと浮かぶのです。

Text/難波里奈

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