数日前までの気候が思い出せないほど、急激に冬らしい寒さとなりましたが、体調を崩されたりしていませんでしょうか? 2018年も残すところ約2週間、仕事にプライベートにと慌ただしい日々をお過ごしと思います。
ところで、皆さまはどんな気分の時に純喫茶へ行きたくなりますか? 美味しい珈琲が飲みたいとき、ゆっくりと読書をしたいとき、一人でただぼんやりしたいとき……。私も何かしらの理由を作っては毎日のようにどこかの純喫茶を目指しています。
今回は、寒さに震えるこの季節に訪れたくなる、まるで暖炉の火のような穏やかさを漂わせた山小屋風の純喫茶でのんびり寛ぐ時間について綴ります。
日常では味わえない世界が広がる
武蔵境からバスに揺られて10分ほど。天気の良い日であれば散策にも最適で、歩道のあるのどかな大通りに、三角の屋根をした大きな建物が見えてきます。どこか旅先のようなわくわくした気持ちになるそのお店の名前は「くすの樹」。
扉を開けてすぐに目を惹くレジ上の美しいステンドグラスのランプ、店内中央にある暖炉、2階へ上がる階段、居心地の良さそうなカウンター席……。
これだけでも十分魅力的なのですが、こちらには知る人ぞ知る素晴らしい空間がもう一つ存在しているのです。それは、本館と繋がる通路の先にある「シャトー」。シャトーとは、フランス語などで「王族や貴族の住居、大きくて美しい館」を指すそうで、外から眺めたそれはまさにイメージ通りの、普段の生活の中ではなかなかお目にかかれない建物です。
気持ちがよいほど高い天井には豪華なシャンデリアが吊るされ、ステンドグラスがあしらわれた窓から差し込む光はやわらかく、壁にはエジプトの壁画を模した絵が彫られています。
座り心地の良い1本足の赤い椅子がまるいテーブルを囲み、まるで貴族のような気分でコーヒータイムを過ごせるのです。淡いベージュ色を基調とした店内は冬の空気の中でもどこかあたたかみがあり、ここで過ごす時間や心の温度も上げてくれそうです。
シャトーは基本的に団体様の貸切や予約、または本館が混み合った時に開放されているそう。
珈琲の種類はもちろん、食事メニューも豊富で一日中どの時間帯に訪れても注文したいものがたくさんで嬉しい悩みも。
お店の周りも興味深い風景が広がっていますので、おなかと心が満たされたなら帰り道は気の向くままに寄り道を楽しむのはいかがでしょうか?
Text/難波里奈
次回は<「平成」も残り少なくなってきたこの時に、「昭和」に栄えた純喫茶へますます恋い焦がれる>です。
『純喫茶とあまいもの』、『クリームソーダ 純喫茶めぐり』、『純喫茶の空間』の3冊を、自分史上もっともハイペースで出版した難波里奈さん。平成も残りわずかになり、昭和の象徴である「純喫茶」にいっそう恋焦がれてるようになったという今年一年を振り返っていただきました。
難波さんの新刊『純喫茶の空間 こだわりのインテリアたち』に興味がある方はこちらから!