空想は儚くロマンチックでも、
灯りの点る店たちに思いを
八幡堀
先日、滋賀県の近江八幡駅に用事があったので、少し寄り道をして彦根駅周辺を散策してきました。
大阪や京都へは、日々の通勤と同じくらい軽やかな気持ちで頻繁に出掛けておりますが、滋賀県の街をゆっくり歩くのは意外にも初めてのことでした。
ありがたいことに良く晴れた、ある土曜日の午後。彦根駅では馴染みのあるキャラクター「ひこにゃん」が出迎えてくれました。
ふらりと訪れた街では地図を見て歩くことはほとんどなく、戻ってくる時間だけをおおまかに決めて、気の向くままに歩くことが多いです。目当ての純喫茶がある時は、そちらをまっすぐ目指すのも良いのですが、思いがけない道で忘れられない風景を見つけたり、ふと入った店で印象深い出会いがあることが多かったため、そう心掛けています。
飛び出し坊や
今回の散策でも歩いている途中にいくつかの純喫茶と出会いました。…しかし、その中の半分はすでに閉店していたのです。そんな時はいつも、灯りが点いている間に訪れることができなかったことをさみしく思い、しばし外観をぼんやりと眺めてしまいます。
かつては、とにかく多くの純喫茶を訪れたくて、どんなに遠い土地の店でもその歴史を閉じると聞けば、可能な限り駆けつけたりもしていたのですが、ここ数年は色々な気持ちの変化もあり、そのようなことはしなくなりました。
営業している間に一度でも自分の体験としておきたい気持ちもあるのですが、時間的に許されなかったり、予定がつかなかったりすることも多くありました。それからは考え過ぎてもやもやしてしまうよりも、その店を愛していた近隣の人たちが思う存分最後の時間を過ごし、ふっとその灯りが消える瞬間を想像して“その日”を見守ることにしています。
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