胸を張って「ひとりが好き」と言えない

高校・大学時代もそうだ。ほとんど自分の意見を押し切っていた。しかも、それが通ってしまうので質が悪い。この文章を読んでいる方も、知り合いから「○○さんなら仕方ないよね~」と言われ、許されている人間がいるだろう。それが私だと思ってくれていい。友だちが合わせてくれる。私なりに気を遣っている部分はもちろんあるけれど、一緒に遊んでいるときや話をしているときの主導権は、年齢に関係なく大抵私が握っている気がする。
今思い返しても、私が前例になったことや私だけルールからはみ出したまま突き進んでいる、ということが多かった。特別なんかじゃない。「こいつならもう仕方ない」というソレだった。社会に合わせることも不得意なのかもしれない。だから、私は比較的大きな会社の面接に引っかからないのか……と、合点がいく。

何かを思いついたら、まずは話し合いをして、二人もしくは複数人が譲り合い、ちょうどよい点を見つけなければならない。時には自分が折れて、相手に従って行動をしなければならない。そのどれもが私の苦手なことだ。人といる安心感や心強さよりも、人と足並みを揃えなければならないストレスの方が強く感じてしまう。
人と話をすることの楽しさを知っているし、誰かと一緒に時間を過ごす意義を私なりにわかっているつもりだ。でも、私が自らひとりでいることを選択してしまうのは、人に合わせる力量を持ち合わせていないからだと思う。人と一緒にいると徐々にしんどくなってしまうのもそのせいだ。

この手の問題は、普通の人であれば学生時代のクラスの中でちょうどいい居場所を見つけて、集団でもひとりであっても、なんとかうまくやっていく術を学習していくんだろう。私、気づくの遅くないか? 周りの友だち、みんな結婚したり子ども産んだり、昇格したりしているんだけど……。
「ひとりが好きなだけ」なんて、胸を張って言えない。私にはその選択肢しか残されえていなかっただけで、年齢の割に成長のスピードが著しく遅いというか、年相応の遂行能力が身についていないだけな気がする。

Text/あたそ