食欲・性欲・睡眠欲。人間の欲求を満たすベッドにお金をかけるべし

2024年もあと数日ですね。今年を振り返って個人的に一番大きな出来事といえば、なんといっても12年続いた結婚生活にピリオドを打ったことです。

正直なところ、自分が離婚をするとは甚だ夢にも思っていませんでした。もっとも「離婚するかも」と思いながら結婚する人のほうが稀かもしれませんが、12年の間、離婚しようと考えたことは一度もなかったし、周囲もまさか離婚するとは思っていなかったのではないか……っていうのはわたしの勘違いで、実際は「離婚しそう」って思われていた可能性も否定はできませんが。

久しぶりに自分の寝室ができた

さて、離婚したといってもその前には10ヶ月ほど別居時期がございまして、住居を分けた際に自室が出来たのです。それまでは親子3人、床に布団を敷いて川の字で寝ていたのですが、息子はどうしてかわたしのほうへとジリジリと、無意識ににじり寄ってくるのでまったくほぼ毎夜安眠できずに、朝起きると肩が痛いとか首が痛いとか腰が痛いとかが常だった。ところが、別居のタイミングと息子の小学校進学が重なったことで、我が家の2LDKの個室はわたしの仕事部屋+寝室と、息子の部屋へと振り分けられた。その結果、それぞれの部屋にベッドが導入されることとなったのです。

お子様と同じ布団で添い寝していらっしゃる皆さまなら、ご理解できるかと思いますが、久しぶりの独り寝の快適さよ。好きに寝返りを打てるし冷たいパートを求めて好きに移動できる。障害物(※息子)に気を遣って動けないなんてこともない。ストレスのない睡眠がとれるってなんて幸せなんだ……ということを知人男性に話していたらこう宣われた。「新婚の時に金を使うのならば、ウエディングドレスでもなく旅行でもなく、いいベッドだ」と。

ベッドにお金を使った方がいい理由

というのも、いいベッドは睡眠の質があがるだけではなく……××の質もあがるのだとか。たしかに温泉旅館などの畳の上で××しようと思うと、それはそれでシチュエーションで興奮する気がするけれども、結局は膝が痛いとか腰が擦れるとかで途中でテンションが下がってしまったことがあるし、かつてウォーターベッド(※昭和の遺物)が自宅にある人と付き合っていたこともあったけれど、船酔いするような感覚があってまったく没頭できなかった。

食欲・性欲・睡眠欲。人間の三大欲求があるうちにふたつを満たしてくれるベッドにお金を掛けるのはまったく間違ってないし、ドレスや旅行のほうが想い出になるといったところで、じゃあ××はその思い出に劣るのかっていうと、ドレスを着ることや旅行なんてひとりでも女友達とでもできるわけで、誰とでもは出来ない××のクオリティをあげたほうがいいというのは理に適っているのではないか、と思いつつ、今夜もわたしはひとり寝をします。快適すぎる。

Text/大泉りか