新宿二丁目のウーマンズオンリーイベントで

その時もやはり場所は新宿二丁目、クラブで開催されたウーマンズオンリーイベントでした。わたしはレズSMショーに出演するために呼ばれていたのだけど、斎藤綾子さんはショーの前のトークイベントのゲストだった。ショーが始まる前は、着替えだとかショーパートナーとの打ち合わせとかでバタバタだから、終わったらご挨拶に伺おう。憧れの作家に会えるとウキウキしながらショーを終えた後、女子トイレの鏡の前で、ショーツだけを身に着けた半裸で、体にくっついている赤蝋を剥がしていたところ、ジャリタチっていうんですかね。見た目は男の子みたいなショートカットにぶかぶかのTシャツ短パン姿の人が近寄ってきて「いい乳してんじゃん!」とむんずとわたしの乳房を握りしめた。

「は?」と睨みつけたら、ニヤニヤ笑ったまんま去っていってしまったのですが、残されたわたしは呆然。相手が男性であれば追っかけていって背中にキック一択だけれども、女性限定のイベントだから、見た目は男性であっても性別としては女性であって、さすがに蹴飛ばすのは忍びない。楽屋ではなくトイレなんていう公共の場で、半裸でいたわたしも悪いけれど、女性しかいないイベントの女子トイレで痴漢行為を受けるなんてまったく想像外だし、そもそも別に同性に乳を触られたところでどうでもいいといえばいい。が、そういう狼藉を許すことで、彼女は自らの行為を反省することなく、後の被害者を生むことにもなる。悩ましく思いながら蝋燭をすべて落としきり、衣装を身に着け直して楽屋にいったところ、斎藤綾子先生はとっくに帰られた後だったのでした……悔しい!

そんな因縁のある斎藤綾子さんと、来週の月曜日にようやくお会いできるのが楽しみなのですが、一度目がレズイベントで二度目がゲイバーっていうのもなんとも。

Text/大泉りか