大切なのは「ちまちましたやり取りとセルフケア」
それで結局、男性は中年以降の孤独死を防ぐために何をしたらよいのだろうか? 本書は、「毎日誰かに電話をかけること。同窓会をすること。睡眠を規則的にとること。そして、自然とつながること(p.287)」が有効だという。
「毎日誰かに電話をかける」はけっこうハードルが高い気がするので「え〜!?」って感じだが、私流に翻訳すると、ようは「他人とのちまちましたやり取りとセルフケアを怠るなよ」ってことなんじゃないかと思う。200円のお煎餅を紅茶のティーバッグと交換したり、誰にも会わないけどおしゃれしたり、部屋を好きなインテリアで飾ったり、女性に好む人が多い「とるに足らないこと」が人生の後半でわりと効いてくる。私個人の実感としても、そんな気がしている。
女性に特有の生きづらさは今も解消されていない。しかし、個人的には「女に生まれて助かったなあ」と感じる機会もけっこうあって、それはこうした「ちまちましたやり取りとセルフケア」の方法論を、長年かけて自然に身につけられたからだ。たぶんだけど、私は男に生まれていたら、こうしたことを一切放棄して「ケアは女の仕事」だと思っていたほうの人間だったんじゃないかと思う……。ケアを他人に任せていると、それはいつか自分の首を絞めてしまうのに。
著者は、「この男女格差は女性が男性に『追いつく』ことによって『ではなく』、むしろ、男性が女性の立ち位置に『戻る』ことによって縮小するべき(p.323)」だという。
私も、格差における他のあらゆる問題において、そう感じることが増えている。
Text/チェコ好き(和田真里奈)
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