一夫一妻制を支えた妾と愛人

一夫一妻制と性・愛・結婚一致のロマンチックラブイデオロギーは、たしかに理想的ではある。しかしそれに無理が生じたとき、妾と愛人が裏でその暗部を引き受け支えてきたのだと、本書は結論づける。妾と愛人は一夫一妻制を破壊するものだと考えていた私にとって、これはなかなか驚きの結論だった。妾と愛人は一夫一妻制を破壊するどころか、都合よく利用され、それを強化するものだったのだ。

個人的な話をすると、私は「恋」や「愛」を無条件にいいものだと考える思想に若い頃から強い違和感を抱いていた。妾と愛人がいないと成り立たない一夫一妻制なら、そんなもんやめちまえよ!――というのはちょっと暴論だけど、しかし本書を読んでそう思う人は、決して少数派ではないはず。ロマンチックラブイデオロギーにおける「本音」と「建前」、その「本音」の部分をじっくり解明してくれるのが本書だ。

このコラムでは私がかなり内容を端折っているので、気になる人はぜひ実際にを読んでみてほしい。婚活中の人や、新婚さんにはあまりおすすめしませんが……。

Text/チェコ好き(和田真里奈)