「事実婚が増えていくはず」はハズレ?
本書の話題はどれもとても面白い。だが、かいつまんで取り上げるとなるとやはり「結婚」について、両者がどのような話を展開しているか触れておくべきだろう。結婚はかつてのような魅力を失い、今後は世界的に(死別や離別でシングルになった人も含めて)独身がどんどん増加していくはず。しかし、依然として結婚は存在感と求心力を持ち続けている。
それは結婚以外の相互扶助の仕組みがあまりにも少ないからではないかと、鈴木涼美は指摘する。夫婦別姓や同性婚にはもちろん賛成で、反対する理由なんてないけれど、そこまでして「結婚」にこだわらなくてはならない我々の社会はどうなっているんだろうと。私もまったく同感だ。また、上野千鶴子はかつて「今後は日本でも事実婚が増えていくはず」という未来予測を立てたが、この予測は外してしまったと自身を振り返る。私のまわりでも、事実婚を選んだという声が少しずつ聞こえてくるものの、いまだに法律婚の存在感は絶大である。
良くも悪くもこの世は資本主義経済なので、今後単身世帯が増え続ければそちらをターゲットにした商品や広告を展開せざるを得なくなり、するともう少し「家族」や「結婚」の存在感が薄れていくのではないかと私は考えているのだけど……さてどうなることやら。とりあえず、手加減なしの本気の格闘技で、2024年のスタートに発破をかけたい人に本書はおすすめである。
Text/チェコ好き(和田真里奈)
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