どんな匂いか嗅ぎ合いたいよ

じゃあ、プライベートでの「パーティーの華」はどうだろう。何を話すでもなく、ただいてくれるだけで場が華やぐ人。そんな人に会ったことがない。そう感じるのは、私がひねくれているからだろうか。目の前に立つ人が華か茎かはたまた球根か。それは話してみないとわからないと思ってしまう。もし、凄く顔がタイプの人がいたら「タイプだな」と感じるとは思うけど、だからって今日が華やかになるわけでもないし、もしその人がレイシストだったらそこで終わりだし。

てか、華ってなんだよ。人だよ。見る用の何かではないし、愛でるための存在でもない。どんな形をしていようが、みんなまるっと考えて喋る、生きてる人間なわけで、だからやっぱ、意味わかんないんだよな。パーティーの華。

ものすごいイケメンが目の前にいたとして、その人の性格とか嗜好って重要じゃないの? 話すことないとどれだけイケメンでも暇では? ぐるぐる考えているうちに思い出すのは「美男美女って話つまんない」というフレーズ。何度聞いたかわからない。私はそれを聞くたび、手首に浮かぶ血管を小さな砂利が通り抜けるみたいな痛みを感じていた。それって、真実だとして、美男美女が悪いわけ? お前の責任もあるのでは? 話が面白い美男美女は大勢いるし、話がつまらないノット美男美女も大勢いるし、結局全て人による。

でももし、統計的に、外見の美しい人の話がつまらないがちなんだとしたら。それってみんなが「パーティーの華」とか言ってきたからじゃない? 話聞いた? ちゃんと。突っ立ってるだけで良いんだって変な成功体験を植え付けてしまったのは、周りの人間たちだ。甘やかしたのはうちらでしょう? 綺麗だね、ハンサムだねとか言って、ろくに会話を積み重ねなかったのはうちらにも責任あるでしょう。

実際私もモデルとして行った現場で、ろくに会話をしてもらえなかったことがあった。まるで小さな子供に話しかけるみたいに「頑張れる?」とか聞かれたり、おしゃれが大好きだと決めつけられたり。それが嫌すぎてとった私の行動は『誰も知らないキャラクターのスマホケースを付けて現場に行き「これ知ってます?」と聞く。「知らない、何?」と言われたら「私も知りません」と答える』だった。相手の先入観を破壊するにはドン引きさせるのが手っ取り早いから。勝手に飾らせませんよっていう確固たる意志を持って、額縁から飛び出そうともがいている人は大勢いる。みんなが知らないだけで。知ろうとしないだけで。みんなが華とか言うから華になっちゃってんだよ。華やらせてるのは紛れもなく周囲の人間だ。

…とか、ウニョウニョ考えて、まぁでもそもそもあんまり会話したくない人もいるか。色んな人がいるもんなってところに戻ってくる。ここまで考えたことは全部私のひとりよがりな想像と経験で、だからイケメンにも聞いてみたい。「パーティーの華って言われると、どんな気分になる?」って。

そうやって、いろんな気持ちを知りたいなって見つめる私はもしかして、他人を等しく華扱いしてるんじゃないかって恐怖が湧いてきましたので、ここでやめておきます。

TEXT/長井短