『スラムダンク』の赤木晴子は“カメレオン女”予備軍!?(3)

今回のテーマはご存知『スラムダンク』!

By Parker Michael Knight By buckeyekes

“フツウ”すぎるがゆえに、マンガやアニメの中で不毛な扱いを強いられている登場人物たちを“フツコさん”と名付け、その恋愛パターンを勝手に想像するこの短期連載。

第1回では『ヱヴァンゲリヲン』の伊吹マヤ、第2回では『魔法少女まどか☆マギカ』の美樹さやかを取り上げたわけですが、ワタクシ、とても反省しています。

恋する女性をターゲットにしたwebマガジンでこのラインナップは、明らかに暴挙だったなって。
張り切ってボートを漕いだら沖に出すぎて、振り返ったら誰もいねえ! みたいな気分です。

そりゃあツイッターで「邪道マーケティング」とか言われるよ!
その結果、女性読者もアニメ好きも取り逃がしたムードでいっぱいです。

そこで、今回は心をあらためて、みんな知ってる国民的少年漫画『スラムダンク』を題材にチョイス。
赤木晴子が実は“カメレオン女”予備軍だったのではないか? という疑惑を考察してみたいと思います(“カメレオン女”の定義についてはこちらをご覧ください)

存在感の薄いハルコさんも実は“フツコ”だった?

赤木晴子といえば、「バスケットはお好きですか?」と最初に桜木花道に声をかけ、すべての物語が動き出すきっかけを作ったキーパーソン。
花道が片思いをする“マドンナ”役として華々しく登場した……はずでした。

ところが、圧倒的な白熱と感動を呼んだ物語全体を振り返ってみると、実は彼女の存在感はきわめて希薄です。

ニブくてトロい天然癒し系でありながら、芯が強くて花道をそっと励ます猛禽キャラ。
『タッチ』なら浅倉南に匹敵するほどヒロインとしてのポテンシャルを持っていたにもかかわらず、次第にストーリーの本筋からはフェードアウト。
最終的にはとんだ凡女どまりの“フツコさん”で終わってしまうのです。

これは、“恋愛”と“家庭”がほとんど描かれず、ホモソーシャルの美学を徹底して貫いた本作の構造のせい。
だからこそ『スラムダンク』は傑作になりえたとも言えます。

しかし、ハルコが本作の実質的なヒロインになれなかったのは、彼女自身に“カメレオン女”としてのフツコ体質がしみついていたからではないでしょうか。