自分の考えを新しいところへ飛ばせてくれる恋愛の楽しさ
――「テラスハウス」の16話、終盤での香織さんとのシーンは前半のクライマックスといえると思うのですが。
- 松㟢
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「彼女はいないけどね、セックスはしまくってるけど」のやつですか? いいシーンでしたねあれ。なんか恥ずかしくて見てなかったんですけど、最近ようやく見たんです。エモいっすよね。
――ご自身もそう思うんですね!10年間の恋愛の変化も聞かせてください。
- 松㟢
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高校時代のマドンナの次は、大学1年の終わりごろに、同じ学校の5個上の女の子と付き合うことになって。撮影の機材置き場が欲しかったりの理由もあって、一緒に住んで。2年くらいで、僕に他に好きな人ができて別れました。その子には告白したけどダメだったんですけどね。
その後は、10個くらい上の子と、また2年くらい同棲して……。クラブで遊んでたら出会って、そのまま彼女の家に行ったけど、その夜は二人とも倒れるように寝て。
朝起きたら彼女はもう起きてリビングで仕事してて。けっこう良いマンションにビビりながら「どうも…」って話してたら、彼女が「おなかすいた」って、1個1500円ぐらいのハンバーガーの出前を頼んだんです。俺、そんな高いハンバーガー見たことなくて。 そしたら「私ハンバーガーのときはコーラしか飲みたくないから」ってコーラだけ買いに行かされて、その感じにキュン!としちゃって。その日のうちに告白しました。
――すごい! ドラマみたいですね。
- 松㟢
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これは本当にいい話で。彼女はプリンスが好きだったんですけど、その三日前ぐらいにプリンスが亡くなって、MTVがずっとプリンスのミュージックビデオを流していて。「パープルレイン」が流れる中、横並びのソファで告白して。なんかテラハみたいですよね。
――恋愛をきっかけに何かを変えようとしたことはありますか?
- 松㟢
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ありますよ!髪型も好きな子の好みをリサーチして合わせたり、僕結構コロッと変えます。
恋愛すると、その子は何が好きなのかなとか、自分の興味とはまた別軸で興味ができる。それが僕はおもしろいなと思ってて。デートも、行きたいと思ったことない場所に行ったり、見たいと思ったことなかった映画を見にいかされたり。そしたら意外と面白かったりとか、考え方が新しいところに飛べる。それは友だちもそうなんですけど、でも友だちよりも恋人のほうが強い感じがします。台湾へ行ったのも、10歳年上の彼女と別れた後、好きになった子にフラれて「俺成長しなきゃダメだ~」って思った時期だったんです。安易ですけど、「海外行くか!」と。
――手が届かない女性だったのでしょうか。
- 松㟢
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届きそうで届かなかった。でも、その子に好きになってもらうために、いろいろ考えた時期にも出会いがありましたね。クリスマスにデートできることになったんですけど、これまでクリスマスデートなんて経験なくて。24日はマジでディナーの予約をとれないことを、そこで初めて知りました。
普通はそんなに気合い入れないですもんね。その子は強烈で、オランダまで追いかけていきましたもん。
――えっ!すごい!
- 松㟢
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振られて台湾にいた時、その子がオランダで展示をするから冗談で「来てよ」って言われて、本当に行って。「マジか」ってドン引きされましたけど、でもデートはしてくれました。
そんなことないとなかなかヨーロッパも行かないし。そういうことさせてくれる子だったんです。
今日を重ねてこれからの展望をつくる
――「テラスハウス」を卒業してからの近況も聞かせてください。
- 松㟢
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PARCOで台湾のポップアップショップをやったり、トークショーに呼ばれたり。「仕事」をテーマに高校生と対談させられちゃったりして。「俺で大丈夫か?」って思って行ったら、高校生の方がしっかりしすぎていて、全然大丈夫じゃなかったですね(笑)
最近は、「これはやるべき仕事なのか?」と考えるようになりました。たとえば映画なら、この作品に加担していいのか? とか。
――これまでの10年について伺ってきましたが、10年後のライフプランを考えたりしますか?
- 松㟢
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僕は注意散漫な人間なので、「今日一日に集中しよう」と思わないとできないんです。だから、先のことを考えるよりは、今日、今日、今日と重ねていって、それで変な方に転がってくのも面白いし。
インタビューで先のことを聞かれるたびに、「いや死んでるかもしれないじゃん」とか思うんですよ。人間が時間を管理しようとするのもおこがましい。それならもう「今」に対して、どうにか集中していくしかない。
――理想の姿はありませんか?
- 松㟢
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10年後……芝居やめてなきゃいいなって思います。将来、今を思い返して「あの頃はド下手だったな」って思えるようになってたらいいですよね。
松㟢翔平
1993年生まれ、東京-台湾在住。
マイターン・エンターテイメント所属。
出演作は『テラスハウス TOKYO 2019-2020』『川島小鳥とコロンビア』『眠る虫』など。
ファッション誌”GINZA”にて『翔平のもしもし台湾』などのコラムも連載中。
Instagram:@matuzakishohei