埋めてきた自分と向き合わなければいけない
過去の反省をふまえつつ今、ひとつ私が思うのは、いかに正直な自分でいられるか、ということだ。
自分はすでに正直だと言う人もいるかもしれないけれど、そもそも私達は恋愛以前に、子どもから大人へと社会的な存在になる過程で、本当は持っていたいくつもの個性を土の中に埋めながらここまできている。社会の規格からはみ出る部分をなんとかそう見えないように、カモフラージュさせてここまできている。
ところが恋愛や結婚というのは、そんなよそ行きの顔が通用しなくなるほどぐっと近くに他人を迎え入れることだ。いつか無理やり埋めてきたものが地中でくすぶっていれば、自分より先に、相手の方が違和感を抱いてしまうことだってある。
だからこそ、お坊さんみたいなことを言うようだけど、まずはやっぱり自分が自分を知らなければならないし、自分が自分の嘘に騙され続けているわけにもいかない。埋めてきた醜い自分を掘り返して、いびつさと向き合って、できることならそれに、自分で許しを与えなければいけないのだと思う。
これが食べたい、あれをしたい。さらに自分でできないことについては親に堂々とヘルプを要求する2才児のように、自分の欲望を知り、自分の快適な暮らしを自分の意志で守ることができる。
誰かに媚びたり、嘘をついたりするのではない、そんな自分に正直な生き方こそが、何より恋愛にも効く。つまるところそんな、素晴らしい時代がやってきたということのだ。
Text/紫原明子