男三人が仲良くする記事はウケる
- 紫原
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ただ、他人が満足している幸せを認められない一方で、努力しすぎて辛そうな人とか、なりふりかまわず頑張る人がロールモデルとして支持されるかというと、そうでもないですよね。
- はあちゅう
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そうですね。昔、女社長さんと喋った時に、「私は絶対に身なりを綺麗にするようにしています。女社長で髪ふり乱して、きたない恰好してると誰も憧れてくれないから、どんなに忙しくても人前に出るときは綺麗にする。綺麗にしていると、それだけで成功してるって思われやすい」って言われたことがあって、それってすごく女性的な気の遣い方だなって思いました。
実際、綺麗じゃないと憧れてもらえないし、大変そうだと思われると見下されてしまう。女子大生なんかに意見を聞くと、所帯じみた人になるのも、仕事だけが出来て、身なりに構わない人になるのも嫌、という答えがかえってきますね。
とにかく「髪を振り乱して、身なりにきがつかえないくらい忙しい」状態は、憧れられないんです。
- 紫原
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なるほど。
- 編集部
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たしかに、髪をふり乱せといわれたら辛いかもしれません。
- 林
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みんな苦労話を聞くのは好きだから「カンブリア宮殿」がウケてると思うんですけど、とはいえ、朝7時に出社して、会社の周り掃除してる社長の姿がクローズアップされると、そんな出世の仕方はしたくないと思いますよね。大変なのっていやですもんね。
僕らだって出世はしたいけど、なんでも軽くやりたい。デイリーポータルで記事を作ってても、辛そうにしてるより楽しそうにしてる方が記事はウケるんですよ。
- 紫原
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あーたしかに、みなさんのほのぼのしてる空気感がいいなと思います!
- 林
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そうなんです。特に、仲のいい男三人の楽しい話しは鉄板でウケる。
女性もそういう風になるといいなと思って、意図的に女性ライターを組み合わせて記事作ったりするんだけど、あんまりそうならないんだよな~。なんでだろう。
- 紫原
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「タモリ倶楽部」とかもそうですけど、なんでオジサンが仲良くするコンテンツって面白いんでしょうね。おじさんたちが集まったほのぼの感ってなかなか代え難いものがありますよね。
- 林
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ありますよねえ。ぼくら「童貞感」って呼んでます(笑)。
男はああいう童貞っぽい感じに逃げると、記事の作りとして着地しやすいんですよね。
- はあちゅう
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デイリーポータルの記事は、お互いを倒してやろうっていうのがないから安心して読めると思うんです。
たとえば、SNSでは人間関係が可視化されるので、偉い人や権力のある人を中心に周りがリプを飛ばし合う様子が目につくじゃないですか。そこには戦闘力の不均衡を感じて、見ててすごくどきどきしちゃうんです。
- 紫原
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忖度が見えちゃうんですね!
- 林
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ヒエラルキーが見える。
- 編集部
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なんともいえない不快感が…。
- はあちゅう
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言っちゃいましたね!(笑)
- 紫原
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いやでもたしかに、平等感って鍵かもしれませんね。
- はあちゅう
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先程の女社長の話しでも出ましたが、女性の場合、特に容姿が重要な評価対象になっていた時代が長い。だから、どうしても、この人は自分より上、この人は下っていうのを簡単に意識してしまうことが多いと思うんです。
- 紫原
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なるほど。だからデイリーポータル女性版は未だに登場していないということなんでしょうか。
うーん、国土がもう少し広ければ……!
- はあちゅう
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島国だったのが悪い(笑)。
……でも私も最近、インフルエンサーの女の子たちと一緒にコンテンツを作ってるんですが、視聴者、読者として楽しんでくれる女の子は多いですよ。それに『Sex and the City』はみんな好きじゃないですか。
- 紫原
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たしかに。女性版わちゃわちゃの成功例、ありましたね!
ここは今後もっと広がっていく部分かもしれません。