男女のジェンダー差がはらむ支配と暴力をショッキングに告発する『先生の白い嘘』をはじめ、『おんなのいえ』『地獄のガールフレンド』など女性の生き方を鋭く見つめた作風で話題の漫画家・鳥飼茜さん。今、最注目の彼女に、規範にとらわれない「30代からの恋愛」のあり方を全4回で伺いました。
第3回となる今回は、恋愛で振り回されたり卑屈になったりしないための、自尊心の保ち方がテーマです。
自尊心がないとかわいく振る舞えない
――前回、パートナー選びで一番重要なのは、結局“かわいげ”ではないかという話が出ました。相手に対する不満や衝突は絶対になくならないけど、最終的には“好きだから許せてしまう”関係かどうかが相性だ、ということでしたね。
鳥飼茜さん(以下、鳥飼) そこめっちゃ重要ですよ。でも、その“かわいげ”を発揮するには、自分に自尊心がないとダメだということに最近気付いたんです。
たとえば、“ぶりっこ”って自分のことをかわいいと思ってないとできないじゃないですか。ベースの部分で私はちゃんと愛されている、認められているという自尊心があるから、なおさらかわいく振る舞えるという良いスパイラルがあるんですよね。
でも、「私おばさんだし」とか「どうせお腹出てるし」みたいな、どうでもいい外からの価値規範で自尊心を削られると、どんどん自信をなくして卑屈になって、“かわいげ”をふりまく余裕がなくなっちゃうんですよ。
――どうすればその自信を持てるようになるのでしょう?
鳥飼 40代、50代になると、積み重ねてきた人生経験がイコール自信となるのか、自尊心をいい具合に保っている方が多い気がします。年を重ねた人ならではのかわいさってあるじゃないですか。「ここで逆に甘えてもいいでしょ」みたいな振る舞いが、自然にできるようになったり。
30代って、若さや容姿では20代に負けてしまうけど、まだそこを捨てたくないというプライドもあって、ちょうど自尊心を削られやすい狭間にいるのかも。男性がちょっと「若い子がいい」と言っただけで、イコール「お前はダメだ」と言われているように受け取ってしまったり。
そんなことでどんどん卑屈になっていくのは悲しいので、そういう言葉には耳を貸さないようにするのがいいと思います。思いつつも、引っ張られるんですけど。
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