ドロ沼からもいつかは抜けられる
恋愛でバカになる人を軽蔑することはできない
中村:恋愛だってドロ沼でのたうちまわって、この男のことで一生苦しむんじゃないかって思っていても、1年ぐらい経つと「いたね、そういう人!」みたいな感じになる。
いつかは抜けられるドロ沼だし、癒える傷なので、そこまで悲観しなくていいと思う。
そして、さらに何年か経つといい体験だったなくらいに思うんですよ。
あのときの私は熱かったな、てか、暑苦しかったなって(笑)。
いい思い出じゃなく嫌な思い出だけど、大切なステップだったと。
―恋愛でのたうちまわっている時は周囲が何も見えなくなりますもんね。
中村:恋愛ってバカになることだと思うから、恋愛でバカになっている人を軽蔑できないですね。
傍から見ると本当にバカなんだけど、傍の人は脳内麻薬が出てないから冷静に見られるだけで。
恋愛中はシャブ中と同じなんですよ、ラリってるバカに見えてもしょうがない(笑)。
でも、バカになれることって人生において恋愛でしかないから、恋愛のときにバカになっている人を見ると、「どうぞ、それが醍醐味なので」って思うんです。
依存もね、そういう風に軽く考えていいんじゃないかなって思いますね。
第三回は引き続き、依存との付き合い方についてお送りします。お楽しみに!
中村うさぎ
1958年生まれ。福岡県出身。同志社大学英文科卒業後、OL、コピーライター、ゲーム誌のライターを経て、1991年にライトノベル作家としてデビュー。『ゴクドーくん漫遊記』がベストセラーになる。
その後、自身の壮絶な買い物依存症を赤裸々に綴ったエッセイシリーズで大ブレイク。
以降も、ホストクラブ通い、美容整形、デリヘル嬢体験を通じた、女の生き方や女の自意識に関する著述で多くの支持を集め続ける。