煩悩を振り払い、心を無にする単純作業…それが写経
写経とは、仏教の経典である般若心経や法華経などの経文を、墨と筆を使って書きうつすこと。
そうすることで、仏の教えを心に深く刻み込み、功徳(ご利益)を得ることができるとされています。
近年では、パワースポットや「僧職系男子」の流行もあいまって、座禅や写経が女子のあいだでもちょっとしたブームになりました。
「都内 写経」で検索すれば、予約なし・無料で写経体験ができるお寺がたくさんあります。
「三連休を寂しい思いで過ごしたのに、そのうえ何が悲しくて今日、写経をしなきゃいけないんだ…」と思われるかもしれません。
しかし、クリスマス写経のメリットは、たくさんあります。
まず第一に、クリスマスからもっとも遠い場所に身を置くことで、世間の浮かれたムードから自分を隔離することができるということ。
第二に、仏の教えにふれることで、煩悩と欲望にまみれた自分の心を見つめ直し、清らかな心でクリスマスと向き合えるようになるということ。
そしてなにより、単純作業は心にヘルシーだ、ということです。
あなたも身に覚えはありませんか?
千羽鶴を折ったり、ちらしの折込みをしたり、パン工場のバイトで「まるごとバナナ」のバナナを一晩中むき続けたり……。
なんの創意工夫もいらない作業に没頭し、心を殺して自らを歯車の一部と化すことで、余計なことを考えずに済み、気が楽になったことはないでしょうか。
ひたすら同じ作業を繰り返すことで、一種のトランス状態に入っていくのだと言えるでしょう。
きちんとした信仰心を持って写経に臨まないと、お寺に失礼ではないかと思う人もいるかもしれません。
しかし、写経は本来、それ自体が修行の一環。
「お経を書きうつす」という行為そのものが目的であり、そもそもが集中力を高めたり、煩悩を振り払うために行うものなのです。
没頭するためであれば、「ひよこのオスとメスを見分ける」とか「トイレットペーパーを1ロールぜんぶ引き出して、また巻いて戻す」とか「おばあちゃんちの砂壁をほじり続ける」とかでもいいのですが、お金がかかったり、変な人だと思われてしまうのは、なかなかにリスキーです。
それに比べれば、写経はもっとも手軽に我を忘れることができる作業のひとつ。
慣れない墨と筆を使うのでコツを覚える必要がありますし、なるべくうまい字を書こうという目標も生まれます。
まさに、プチ修行にはうってつけなのです。