打ち上げで小島さんは…

とにかく小島さんは酒が強いわ強い! 次々とウーロンハイを空けていき、その上常にタバコを吸っている。常時偉そうに「キミはこれまでどんな仕事してたの?」「へぇ~、意外と売れっ子じゃん」などと言われる。

そうこう飲みが続く中、小島さんがトイレに立った。店の中に客は誰もおらず、彼女は僕の後ろを通ったが、いきなり首のまわりを後ろから抱き、ディープキスをしてきた。飲み過ぎたのか、すでにフラフラになっていて気分が良さそうだった。

「あ、これは来たな」とこの瞬間で感じたが、とはいっても一応はクライアントである。こちらからは誘うわけにはいかない。あちらからの誘いを待つしかない。

そして、「会計しよっか」と言い、経費でここの飲み代を払ってくれた。外に出ると抱きついてきて再び小島さんはディープキスをしてきた。こんなにタバコ臭いキスは初めてだったが、むしろこれが淫靡な雰囲気を高めてくれた。

「ニノミヤくーん、ここ、ラブホだらけだから行こうよ~」

確かに本当に「誰とでも寝る」女性だった彼女とホテルへ。「普通、こういうとこは男が払うものだからね~」と言う。当然僕も自分が支払うつもりだったので4300円の「休憩」ボタンを押した。

部屋に入るとシャワーを浴びるでもなく、いきなり2人して全裸になり、すぐに一戦が開始。胸はAカップからBカップの間だった。「ふふん、小さいな、って思ってるんでしょ?」と言われたので「いや、そんなことはありません」と答えた。

彼女と僕の性器の結合に関する相性についてはあまり良くはないようだった。だが、お互いイクことはできた。相性ってもんは、案外お互いすぐに分かるものだから2回目はないな、と思っていたのだが、次の仕事の後も「打ち上げ」と称して再び小島さんとはセックスをした。

もうワケが分からなかったが、とにかく仕事をする度にセックスをするのだ。彼女はその後異動し、音信不通となったが、実に奇妙な関係性だった。この話はフィギュアスケートの高橋大輔に対し、濃厚なキスをした橋本聖子氏が東京五輪の会長になる、という可能性が出てきたことから思い出したのであった。

Text/中川淳一郎