コンドーム自販機を求めて走った夜。本当にあったエロい失敗談/中川淳一郎

コンドーム

大学3年生のとき、高校時代のクラスメイトだった恵美(えみ)と久々に会った。すっかりタバコを吸うようになっていて、大人びた恵美は、なにかと充実した大学生活を送っているようだった。

勉学もサークル活動も含めて、と言っていたが、一つの問題は一緒に住んでいる姉が男を連れ込んでくるため、家にいるのがウザい、ということだった。このときは久々に会ったのと、彼女が家になかなか帰りたくないということから、深酒になった。

当時僕は自分とは関係のない某国立大学の学生寮に出入りしていた。その寮は3人部屋だったのだが、当時寮は不人気で、住んでいる学生は1人だけだった。だからこそ、この部屋に住む吉田君(どこで会ったのかは覚えていない)には、都心で遅くまで飲んだときは「ごめーん、終電逃したから泊めて!」とお願いをし、何本かビールを持っていって泊めてもらっていた。

この日、恵美と僕はバーで2人して350mlのハイネケンの瓶を18本飲み、完全にグデングデンになっていた。このとき午前1時過ぎ。もう終電は終わっていて、2人とも自宅には帰れない。ビールは1本600円だったため、2人合わせてビール代だけでも1万800円もかかっており、学生としてはカネを使い過ぎていた。

帰れないながらもラブホテルに泊まるほどのカネはないし、24時間営業のファミレスで過ごすのもキツい。というわけで、僕は恵美に「あのさ、オレが出入りしている学生寮がここから徒歩20分ぐらいのところにあるんだよ。吉田君ってヤツが住んでいるけど、ビールを何本か持って行けば泊めてくれると思うけどどう?」と言った。

「それでいいよ。よーし、歩いて行こう!」

恵美はこう元気に言って僕らは会計をした。財布の中には2人とも1000円札が1枚か2枚しかないような状態だった。途中のコンビニで缶ビール6本とスナック菓子を買い、寮へ。吉田君は1時30分だったがまだ起きていて「あぁ~、ニノミヤさん、お久しぶりです!」と言った。

「ごめんね、今日泊めてちょうだい。ビール買ってきた。今日はオレの高校の同級生の恵美と飲んでたけど終電逃した」

「あぁ、全然構いませんよ。じゃあ、ビール飲みますか」

吉田君がいるのに…

かくして我々はコタツの中でビールを飲み始めた。そんな中、恵美は吉田君に気を遣うわけでもなく、僕の脚に自身の脚を絡めてきて、さらに僕のアソコも足の指を使ってツンツンと突いてくる。まだ20歳の自分にとってはこんなことをされてしまうと猛烈に勃起をしてくる。別に恵美に対しては恋愛感情を抱いたことはなかったのだが、こんなことをされると性欲の対象としては意識せざるを得ない。

恵美から誘われていることが分かった僕は、とにかくさっさと吉田君を寝させることを考えた。だから「ごめんね吉田君、こんなに遅くに来てさ。早く寝てね。オレらには気を遣わないでさ」などと言い、吉田君は「いやぁ~、ニノミヤさん、久しぶりに会えてよかったですよ!」と呑気に言う。

我々は「吉田、さっさと寝ろ、バカ!」などと思うものだから本来は2本ずつだったビールだが、吉田君に3本目を渡し、恵美と僕は1本のビールを交互に飲み続けた。まぁ、バーで2人して18本も飲んだわけだから正直ビールはこれ以上飲めない状態だった。

サッサと3本飲ませることに成功したため、吉田君は「フワーッ、僕も眠くなったので寝ますね~」と2時30分ぐらいに言った。3人揃ってトイレに行き小便をし、後は寝ることになった。吉田君は自身の布団に入るとすぐにいびきをかいて寝始めた。僕と恵美は部屋の隅っこにある別の布団に2人して入った。

この段階になると2人とも性欲の塊のようになっていた。すぐにディープキスをし、互いの性器を下着の上からまさぐり合う。そして、僕は恵美の胸をもみしだき、そしてセーターの下から直接胸を触り、彼女の乳首を舌で突いた。

「ア~ン……」

恵美はそう言い、僕のアソコも直接触り、ダラダラと流れ出る我慢汁を指でなぞると僕の前で大きく口を開け、舌でその指を舐めてみせた。そして、僕のジーンズとパンツを降ろすとパクリとしゃぶってきた。

「フフン、大きくなってるね。吉田君も寝てるし、今日はヤッちゃおうよ。ニノミヤ君とはいつかヤるだろうなと思っていたんだよ

僕にとっても恵美のこの発言は渡りに船だった。二人してすぐに全裸になり、互いの身体を舐め合って、性器も触ったり舐めたりしたのだが、いざ挿入となったときに恵美は途端に冷静になった。

「ニノミヤ君、コンドーム持ってる?」

「ないよ」

「ちょっと買ってきて!」

まさかの展開である。ただ、確かに避妊具はこの状況では必要だろう。僕は「じゃあ買ってくるよ」と、残り800円しかない状況で買いに出かけた。当時コンドームはコンビニなら6個入りで500円はした。だが、自販機であれば3個入りで300円で買えた。翌日電車に乗って大学と自宅のある最寄り駅まで行かなくてはいけなかったため、なんとしても500円は財布の中に入れておきたかった。

そこで僕は勃起しながら寮から出て脱兎のごとくキャンパスの中を走り、道に出た。住宅街や薬局前だったらコンドームはあるかと思ったのだが、なかなか見つからない。それでも走り続けたが30分経ってもコンドームの自販機はない。