コンドームの自販機は見つかるのか?

もう3時15分ぐらいになっていたが、まだ見つからない。そんな中、突然懐中電灯の光を当てられた。パトロール中の警察官だった。

「止まってください!」

「は、はい……」

「こんな時間に何をやっているのですか?」

まさか「コンドームの自販機を探しています」なんてことは言えない。あまりにも恥ずかし過ぎる。そこで僕はこう言った。

「えぇとぉ~、自動販売機を探しています」

この警察官が徹底的に空気を読めないのは、次の発言である。

「なんの自動販売機ですか?」

あのさ、こんな時間に走り回っているのであれば、大麻や覚醒剤を持っていて頭がラリっている、といった疑問を持つのが普通なのに、まさかの自販機の種類を聞いてきたのである!

僕は「えぇと、カルピスウォーターが突然飲みたくなったので外に出たのですが、コカ・コーラやサントリーの自販機ばかりでなかなか見つからないので焦って走っていました」と答えようかとも思った。

だが、たまたまこの警官が自動販売機事情に詳しくて「あぁ、カルピスの自販機だったらもうすぐありますから案内しますよ」なんて言い、無駄にカネを使わせる展開も危険だった。何しろ300円のコンドームを買うためのカネがもはや尽きそうになっていたのだから。

ここはもう正直に言うしかないと思い、「えぇとぉ~、避妊具の自販機を探しているのです……」と僕は言った。すると警官は「えぇとぉ~、それは本官も分かりませんね……。あぁ、これでいいです」と解放してくれた。

警官と会っている間に勃起は収まってしまっていたが再び僕は恵美とセックスができるのだ、とばかりに勃起を開始しながら走り始めた。すると5分ほどで夢にまで見たコンドームの自販機を発見! 300円を投入して購入し、再び脱兎のごとく走って寮の部屋へ。

コンドームを手に入れて寮に戻ると

このときはもう4時になっていた。吉田君も恵美もいびきをかいて寝ていた。

「おい、恵美、起きろ! コンドーム買ってきたぞ」

「ニノミヤくーん、ありがとぉ~」

恵美は寝ぼけているようだったがそう言って全裸になり、僕も全裸になった。必死の思いで買ってきたコンドームの箱は脇に置き、すぐさま取り出せるようにセロファン部分は外しておいた。

恵美はすぐに僕のアソコを触り、そしてしゃぶり始めた。我慢汁はさらに出ており、もうこちらとしては一度この興奮を抑えなくては、と思っていたのに恵美は突然の積極策に打って出た。

「恵美、待て、待て! まだそこを触らないでくれ!」

「いいじゃん。私だって待っていたんだからさ」

「いや、違うんだ!」

そして、恵美は手と口を使って僕のアソコをかなりのテクニックで触り、舐めてきた。僕は相変わらず「ちょっと待ってくれ!」と言うも恵美の動きは止まらず僕は我慢できず強引に恵美の口と手を放し、床に向かってアソコを向け、盛大に射精した。

この間わずか30秒ほどだったと思う。さすがに口の中に出すわけにはいかなかったのだ。1時間以上、勃起をしつづけた僕のアソコはもはや少しの刺激にも耐えられず、恵美とはキスなど穏やかな形でセックスを開始しようと思っていたのだが、恵美もさっさと挿入をさせたかったのか、想定以上に早くアソコを弄んできた。

このあまりの早漏っぷりには「ゴメン……。コンドームが見つからず1時間ぐらい勃起し続けていてもう耐えられなかった……」と言うしかなかった。

「わかった~。じゃあ寝よう」

となり、恵美はすぐに寝息を立てた。僕はティッシュ3枚を使って床に大量に溜まった精液を拭きとり、ゴミ箱に捨てた。すぐに豪快ないびきを立て始めた恵美を横にし、僕は「なんで事前にコンドームを用意しなかったのだ……」とチュンチュンと雀が泣き始める早朝の東京で一生の後悔をしたのであった。

Text/中川淳一郎