昔はフェラが普通じゃなかった。性の常識は時代によって変わる

ペニスとのファーストコンタクト

皆さんは、勃起したペニスを初めて目にしたときのことを覚えていらっしゃいますか? わたしとペニスとのファーストコンタクトは、突然家に遊びに来た同級生の男子がペロンとズボンを下げて「ちょっとしゃぶってくれない?」と差し出してきたときでした。
それまでももちろん、お風呂の際などに、父親や弟のチンチンを見たことはあったけれど、当然いつも萎びた状態だったので、天を突くように反りあがったペニスは衝撃的かつ興味深すぎて、その男子のことが特別に好きだったわけではなかったけれど、性的好奇心が先立ってしゃぶりました

その日、同時に初めて口にした精液の味とともに、ほろ苦く思い出すのは、以後、学校の一部の男子たちから妙にモテるようになったことです。どう考えても当該男子が「しゃぶってもらった」と各所に言いふらしたに違いなく、かといって「あいつのしゃぶったんなら、俺のもしゃぶってよ」なんて図々しく頼んでくる輩はおらず、わざとらしく「俺と付き合ってよ」なんて言うところがいま思えば、下心がバレバレすぎてかわいらしい。

性の常識は移り変わる

そういうわけで、初体験よりも先にフェラチオで抜いた経験があるわけですが、あるとき、そのことを20歳くらい年上の初老男性に話したら非常に驚かれました。というのも、AVが普及する以前は、フェラチオをしない女性というものが存在していたし、なんならフェラチオを頼むと「風俗嬢じゃない!」と怒ったり泣く女性すらいたという。

いやいや、さすがに嘘でしょ……と思ってリサーチしたところ、何人かの男性から、同じような話を聞くことができて、セックスのやり方や性についての女性の意識というものは、わずか10年、20年スパンで変わっていくものだと思った次第です。

ということは、今、常識的に絶対にないと思っている行為も、時代が変われば、「誰もがする、メジャーな行為」になる可能性もあるっていうことです。もちろん「みんながしているから」ってしたくなければしなくていいけれど、「みんながしていないから」といってしないのは、ある意味で思考停止でもったいない。
むしろ、軸を自分に移して、自分がしたいのか/したくないのかでジャッジするのがよいのではないかと思うのです。なんせ性の常識は時代によって変わるものなので。

Text/大泉りか